2018年2月25日日曜日

ことばと文化1「謙虚な日本人?」




謙虚もほどほどに


日本人は謙虚な国民だと言われる。自慢は見苦しいことであり、優れた行いをしても、謙遜するのが美徳とされる。だから国際舞台で主張すべきことも遠慮して、損をする傾向にあるようだ。


美徳が決して悪いことではないと思うが、やはりほどほどにしたほうがいいのではないか。英語にするとこんな不自然なことがおこる。


(家に招待して)
汚いところですが、お上がりください。
My house is dirty, but please come in.
きちんと片付いているのに、実は不潔なのだろうか?と思われるかも。

(食事を出して)
何もありませんが、召し上がってください。
There is nothing, but please help yourself.
テーブルが見えないくらいのごちそうを前に、「何もない」と言われれば、混乱する。

(奥さんを紹介するとき)
こちらが私の愚妻です。
This is my stupid wife.
旦那さんが人前で家族を貶めるなど、日本人以外には考えられないだろう。

(プレゼントを渡すとき)
つまらないものですが。
This is nothing interesting.  / This is of no value.
どうでもいいものをなぜ?と思われてしまう。

(何かをほめられたとき)
とんでもない!私なんか全然だめですよ。
Oh, no, no! I am far from it.
言ったほうは、何か悪いことを言ってしまったと思うかもしれない。





ほかにも、自分の会社を呼ぶときの「弊社」。「弊」の意味は「やぶれる・こわれる・つかれる・たおれる」。ずいぶんへりくだっているものだ。


もちろん英語を話せる人なら、こんなような直訳はしないだろう。しかし、多くの人は単に言い慣れているというだけでなく、多かれ少なかれ、そのように思っているから口にするのではないだろうか。

たとえば、食事に招待したとき、相手の口に合うか、ボリュームは十分か、などと思い、もし気に入られなくても、先に謝っておこうくらいの無意識が働いているのでは?家族を紹介するときも、プレゼントを渡すときも同じだ。日本人の謙遜とは予防線にほかならないのかもしれない。


通じる言い方は?


ちなみに、例にあげた表現を外国人にも通じやすく言う表現は、こんな感じだろうか。


(家に招待して)
汚いところですが、お上がりください。
Thank you for coming. / Please come in.

(家に食事に招待して)
何もありませんが、召し上がってください。
Please enjoy.

(奥さんを紹介するとき)
こちらが私の愚妻です。
This is my wife.

(プレゼントを渡すとき)
つまらないものですが。
I hope you like it.

(何かをほめられたとき)
とんでもない!私なんか全然だめですよ。
Thank you.

「弊社」は、単にWe とか、社名で言うことが多いようだ。


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