2018年7月27日金曜日

イタリア語なるほどメモ32「家具」






家具の単語は意外に知らない



イタリア語を勉強していると、身の回りのもので知らない単語が、意外に多いことに気づく。家具の名前もそのひとつだ。




英語であれば、ソファ、カーテンなど、カタカナ語から容易に想像がつく。しかし、イタリア語はそうはいかない。英語と似ているものも多少はあるが、まったく違う単語が多いのだ。ソファは「divano(ディヴァノ)」、カーテンは「tenda(テンダ)」だから、類推のしようもない。



イタリア家具のイメージ



家具はイタリア語で mobile(モービレ)。「動かすことができる」と言う言葉が語源。


「イタリア家具」と聞けば、おしゃれで高級なイメージが思い浮かぶ。古典的・オーソドックスなものから、先進的・芸術的なものまで、幅広いデザインがあり、一流どころのホテルなどにも使われているようだ。


こちらのサイトには、イタリアの高級家具が写真つきで紹介されているので、ご興味のある方はどうぞ。


一方、高級家具に手が出る人はやはり限られているようで、IKEA のような大衆的家具も売れているらしい。ウェブサイトには、「イタリアで売れ筋のIKEAの家具20」という紹介記事があった。多いのは収納関係。日本でも売れていそうな家具が多く入っている。



IKEAの家具



いろいろな家具はイタリア語で?



イタリアで売れ筋のIKEA家具も参考に、主な家具のイタリア語についてまとめてみた。23語あるが、英語と似ているのは、クッションの「cuscino(クシーノ)」、テーブルの「tavolo(ターヴォロ)」、ランプの「lampada(ランパダ)」の3つだけ。せっせと覚えないといけないようだ。


種類
日本語
イタリア語
読み方
タンス・棚
洋服ダンス
armadio
アルマディオ
洋服ダンス(大)
guardaroba
グアルダローバ
scaffale
スカッファーレ
本棚
libreria
リブレリーア
ベッド類
ベッド
letto
レット
毛布
coperta
コペルタ
まくら、クッション
cuscino
クシーノ
シーツ
lenzuola
レンツォーラ
ベッドカバー
copriletto
コプリレット
テーブル・椅子
テーブル
tavolo
タヴォロ
小テーブル
tavolino
タヴォリーノ
つくえ
scrivania
スクリヴァニア
いす
sedia
セディア
ソファー
divano
ディヴァノ
2人掛けソファ
divanetto
ディヴァネット
アームチェアー
poltrona
ポルトローナ
その他
カーテン
tenda
テンダ
カーペット
tappeto
タッペート
収納ケース
scatola
スカートラ
ランプ
lampada
ランパダ
額・写真フレーム
cornice
コルニーチェ
時計
orologio
オロロージョ
じょうろ
ainnaffiatoio
アインナッフィアトイオ


洋服ダンスの「armadio(アルマディオ)」というのは、何だかアルマジロみたい。本棚の「libreria(リブレリーア)」というのは、本の「libro(リブロ)」の派生語だと想像がつく。英語の library はここから来ていたのかと納得。

  

動詞から来ている単語もいくつかある。

coprire(カバーする)→ coperta(毛布)、copriletto(ベッドカバー)
scrivere(書く)→ scrivania(つくえ)
sedere(座る)→ sedia(椅子)


「じょうろ」は家具ではないが、IKEA の売れ筋商品にあったので入れてみた。やたら長いだけでなく、全く耳馴染まない単語だが、こんなニッチな単語を覚えておくのもいいかもしれない。

で、じょうろは英語で何だっけ?




答えは、「watering can」。本棚は「bookshelf」だし、イタリア語に比べると、だいぶストレートですね。



おまけ



イタリア語でカーテンを表す tenda は、同じスペルのラテン語が語源。広げることができるもの、というところから、窓カーテンを表すようになった。テントと言う意味もある。


一方、スペイン語にもこれと同じ由来の tienda(ティエンダ)という単語があり、こちらは、「店」という意味。昔の商人が、日よけのために、棒を立てて布をかけたことから来ているとのこと。スペイン語でカーテンは「cortina(コルティーナ)」で、イタリア語とは全然違う単語だ。





参考:
Wikipedia mobile家具
Wikzionario tendaカーテン)
Diccionario etimológico tienda店)




2018年7月24日火曜日

ことばと文化22「翻訳・名訳・誤訳」





機械翻訳は急速に進化



この数年、機械翻訳の精度が大きく進歩している。100%近く正確、というわけにはいかないが、だいたいの意味をつかむには十分なレベルだ。




かつて、機械翻訳は使いものにならない、と言われた時期がある。よく引き合いに出されるのが、この一文。


Time flies like an arrow.


これを機械翻訳にかけると、「時蠅は矢を好む」という訳文になったと言う。しかし、今はオンラインの無料翻訳でも、意味の通じる日本語訳が出てくる。Google翻訳なら「時間は矢のように飛ぶ」。「光陰矢のごとし」という参考訳までついている。




今や情報は世界各国から発信されている。情報を手っ取り早く知りたいとき、自動翻訳はありがたい存在だ。



間違いが許されない翻訳とは



一方、「だいたい」の翻訳ではすまされない場合もある。出版物など、プロの文章として世の中に出るものは当然ながら、ビジネスや医療など、金銭や安全にかかわるもは、正確な翻訳が要求される。


私自身が翻訳の仕事を始めたころ、こんな話を聞き、ぞっとしたのを覚えている。


「海外向けプロジェクト工事の仕様書で、翻訳会社が提出した文章に誤訳があった。このため、工事仕様が本来と変わってしまい、数千万円の損失を出した。誤訳したのは、surface というたったひとつの単語で、『地上』と『地中』の訳を間違えていた」




この時の損害賠償がどうだったのかまでは覚えていないが、翻訳の問題で金銭的損失が発生した場合、翻訳会社が賠償責任を負うことがあるらしい。また翻訳者自身にペナルティが課せられることもあるようだ。



 有名な誤訳


よく知られた誤訳として、ビートルズの「ノルウェーの森」という曲のタイトルがある。原語は「Norwegian wood」。かなり以前から誤訳が指摘されていたようだ。ウェブで見ると「ノルウェーの家具」とか、「ノルウェーの木材」というのが正しい意味とされている。いずれにしても、森とは全然関係ない。


実は、これを訳した音楽会社の人も誤訳であることを認めている。しかし、タイトルは今でも修正されていない。現在発売されているCDタイトルでも、「ノルウェーの森(ノーウェジアン・ウッド)」となっている。


確かに、本来の意味とは違うかもしれないが、「ノルウェーの材木」と言うより、「ノルウェーの森」というほうが、はるかにイメージがいい。




今は洋楽タイトルに邦題をつけることが少なくなっているが、昭和の時代に発売された曲には、へんてこな訳がつけられたものも少なくなかった。


シンディローパーの「Girls Just Wanna Have Fun」は、最初、「ハイ・スクールはダンステリア」として発売された。だが、本人からのクレーム(と言われている)で、「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」と変更されている。


洋楽に日本語のタイトルをつけるのは、あくまで売れるようにするため。だから、原文に正確でなければいけない、ということはない。しかし、あまりに曲のイメージを損なうものは、「誤訳」と言えるだろう。


笑える邦題のサイトはいくつかあります。ご興味があればこちらをどうぞ。


参考:
ユニバーサルミュージックラバー・ソウル



名「誤訳」?



翻訳というものは、100%原文に忠実、とうわけにはいかない。異なる言語は文化の背景も違うからだ。小説などでは、原文の意図を維持しつつ、読者が理解できるようにするため、わざと「誤訳」?「意訳」?する場合がある。


翻訳関連の本を読むと必ず出てくる例が、日本文学者ドナルド・キーン氏による太宰治の「斜陽」の翻訳の一節。原文の「白足袋」が、「white gloves」と訳されている。これは、ある女性が正装している場面。英語の読者が理解でき、また原文の意図も損なわないよう「白手袋」と言い変えた表現は、多くの人から「名訳」と賞されている。


また、もうひとつの例に、CS・ルイスの「ナルニア国物語/ライオンと魔女」に出てくる「ターキッシュディライト」がある。翻訳は瀬田貞二氏。日本語訳では、これが「プリン」となっている。




ターキッシュディライトはイギリスの子供が大好きなお菓子。柔らかいゼリーのようなものに粉砂糖がかかっている。日本語の翻訳が出版されたころはもちろん、現在にいたっても日本ではほとんど知られていない。訳者あとがきに、日本人になじみのないものであるため、「プリン」に変えたとの断り書きがある。


実はこの本、私が子供の頃からの愛読書で、大人になってからも折に触れて繰り返し読んでいる。この「ターキッシュディライト」は、白い魔女が少年を悪事に引き込もうとする大事なシーンで出てくる。もし、「プリン」ではなく、「ターキッシュディライト」と書かれていたら、お菓子であることも分からず、物語の面白さが半減していたかもしれない。


意図された誤訳というものは、直訳よりも本当の意味合いを伝えてくれると言えるだろう。


おまけ



「ナルニア国物語」は英語でも読んだので、「Turkish Delight」というのが、どんなものか、気になっていた。ロンドンに行ったとき、初めて食べる機会があったのだが、私にとっては、実に残念な味だった。にゅるっとした歯ごたえ、単純な甘さ、そして、お菓子にそぐわないフレーバー(ちょっと香水っぽかったです)。ターキッシュディライトファンの方、ごめんなさい。これは個人の味覚なので…


写真はおいしそうですね。