2019年2月25日月曜日

イタリア語なるほどメモ44「いろいろな形を表すイタリア語」





トマトの形はどう表現する?



先日のイタリア語レッスンで、トマトの話題が出た。サンマルツァーノのように調理用のものもあれば、丸い形をした生食用も多くある、とのこと。「丸い、球形の」を表すイタリア語は「rotondo(ロトンド)」、一方、調理用トマトのような長円形は「oblungo(オブルンゴ)」と表現するらしい。この単語で画像検索をかけると、長い形のトマトの写真がぞろぞろと出てくる。




oblungo」と聞いて、何だか耳馴染まない言葉だと思ったが、実際イタリア人でもあまり使うことはない特殊な言葉のようだ。イタリアの Wikipedia では、サンマルツァーノの説明として、「forma allungata=長い形」という表現が使われている。



意外と知らない形を表す言葉



よくよく考えてみれば、日本語でごく普通に言える形の表現も、外国語になると知っている単語がかなり限られてくる。英語でも「丸」、「四角」、「三角」くらいはすぐに単語が出てくるが、「ひし形」「平行四辺形」「台形」となると、一瞬考えてしまう。イタリア語ではなおさら形の表現がおぼつかないことに気づいた。


そこで、形を表すいろいろな表現を英語とイタリア語で調べてみることにした。





いろいろな形を表す英語とイタリア語



長年イタリア語を習ってきたが、形の表現で口にしたことがあるのは、「triangolo(三角)」くらい。「円」や「球」と言う言葉もほとんど使った記憶がない。「rotondo(丸い)」や、「palla(ボール)」といった表現で間に合ってしまうからだ。いい機会なので、基本的な二次元・三次元の図形の単語をまとめてみた。(ほとんどは、この先使うこともなさそうな気もしますが… (;;))


基本的な平面図形



図形
英語
イタリア語
1
circle
cerchio
2
だ円
ellipse
ellisse
3
三角形
triangle
triangolo
4
正方形
square
quadrato
5
長方形
rectangle
rettangolo
6
ひし型
rhombus
rombo
7
平行四辺形
parallelogram
parallelogrammo
8
台形
trapezoid
(trapezium)
trapezio


英語とイタリア語を並べてみると、形を表す単語がよく似ていることが分かる。「円」の「cerchio=チェルキオ」と、「正方形」の「quadrato=クアドラート」以外はほぼそっくり。


cerchio」の類語として、英語によく似た「circolo=チルコロ」という言葉もあるが、こちらは意味が広く、「円」のほか、「サークル、クラブ」といった意味合いもある。


「長方形」の「rettangolo=レッタンゴロ」は、「正しい、まっすぐな」を表す「retto=レット」と、「角度」を表す「angolo=アンゴロ」が組み合わさってできた単語。そういえば、英語にも「rectify=正す」という単語がある。


多角形 

  
図形
英語
イタリア語
1
四辺形
quadrilateral
quadrilatero
2
五角形
pentagon
pentagono
3
六角形
hexagon
esagono
4
七角形
heptagon
ettagono
5
八角形
octagon
ottagono
6
九角形
nonagon
ennagono
7
十角形
decagon
decagono
8
十二角形
dodecagon
dodecagono


「正方形」の「quadrato」に対し、「四辺形」の「quadrilatero=クアドリラテーロ」は、4つの辺でできている形を意味する単語。あまり使うことはなさそうだが、一応入れてみた。


多角形でよく知られているのは、アメリカ国防総省の別名で有名な pentagon だろう。この「penta」というのは、ギリシャ語で「5」を表す πέντε から来ている。このほか、多角形を表す言葉の接頭辞は基本的にギリシャ語。


三次元の図形 


図形
英語
イタリア語
1
sphere
sfera
2
立方体
cube
cubo
3
直方体
cuboid
cubico
4
三角柱
Triangular prism
prisma triangolare
5
円柱
cylinder
cilindro
6
三角錐
triangular pyramid
piramide triangolare
7
正四角錐
square pyramid
piramide quadrata
8
円錐
corn
corno


この中でなじみがあるのは「cilindro(円柱=チリンドロ)」くらい。英語の cylinder とよく似ている。「チリンドロ」という語感から、スペイン料理の「チリンドロン」が連想されるが、こちらはカードゲームの名前が由来とのことで、円柱とは関係ないようだ。


また、「円錐」を表す「corno(コルノ)」は、英語の corn と同じく、アイスクリームのコーンのことも表す。「copetta(カップ=コペッタ)」と合わせて覚えておくとよさそうだ。



ついでに多面体 


図形
英語
イタリア語
1
正四面体
tetrahedron
tetraedro
2
正六面体
cube
cubo, esaedro
3
正八面体
octahedron
ottaedro
4
正十二面体
dodecahedron
dodecaedro


「オッタエドロ」とか「ドデカエドロ」とか、何だかものものしい響き…。まあ、使うことはないでしょうね…。



おまけ:卵型の語源は卵



サンマルツァーノのようなトマトの形を表す単語として、「oblungo(オブルンゴ)」と聞いたとき、「ovale(卵型の)」とlungo(長い)」を合わせた単語かと勘違いし、「ovalungo」かと思ってしまった。正しくは、「lungo(長い)」に接頭辞の「ob-(~に向かって)」がついた形であり、卵型とは関係なかった (;;)。




で、この時、「卵型」という単語が、「卵」が語源となっていることに初めて気づいた。卵の形だから、卵型。何をあたり前のことを!と言われそうだ。しかし最初にイタリア語で ovale を覚えたとき、「英語と似てるなぁ」と思ったくらいで、卵の「uovo(ウオヴォ)」と関係があるとは考えてもみなかった。(英語の egg はゲルマン系の語源なので、oval とは関係ないため)


卵が元になっていると気づいてみれば、「ovale」という単語に卵の形のイメージが伴うようになる。単語というのは、このようにイメージと合わせて覚えるのが効果的のようだ。



参考: