トマトの形はどう表現する?
先日のイタリア語レッスンで、トマトの話題が出た。サンマルツァーノのように調理用のものもあれば、丸い形をした生食用も多くある、とのこと。「丸い、球形の」を表すイタリア語は「rotondo(ロトンド)」、一方、調理用トマトのような長円形は「oblungo(オブルンゴ)」と表現するらしい。この単語で画像検索をかけると、長い形のトマトの写真がぞろぞろと出てくる。
「oblungo」と聞いて、何だか耳馴染まない言葉だと思ったが、実際イタリア人でもあまり使うことはない特殊な言葉のようだ。イタリアの Wikipedia では、サンマルツァーノの説明として、「forma
allungata=長い形」という表現が使われている。
意外と知らない形を表す言葉
よくよく考えてみれば、日本語でごく普通に言える形の表現も、外国語になると知っている単語がかなり限られてくる。英語でも「丸」、「四角」、「三角」くらいはすぐに単語が出てくるが、「ひし形」「平行四辺形」「台形」となると、一瞬考えてしまう。イタリア語ではなおさら形の表現がおぼつかないことに気づいた。
そこで、形を表すいろいろな表現を英語とイタリア語で調べてみることにした。
いろいろな形を表す英語とイタリア語
長年イタリア語を習ってきたが、形の表現で口にしたことがあるのは、「triangolo(三角)」くらい。「円」や「球」と言う言葉もほとんど使った記憶がない。「rotondo(丸い)」や、「palla(ボール)」といった表現で間に合ってしまうからだ。いい機会なので、基本的な二次元・三次元の図形の単語をまとめてみた。(ほとんどは、この先使うこともなさそうな気もしますが…
(;;))
基本的な平面図形
図形
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英語
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イタリア語
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1
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丸
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circle
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cerchio
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2
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だ円
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ellipse
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ellisse
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3
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三角形
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triangle
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triangolo
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4
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正方形
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square
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quadrato
|
5
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長方形
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rectangle
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rettangolo
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6
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ひし型
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rhombus
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rombo
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7
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平行四辺形
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parallelogram
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parallelogrammo
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8
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台形
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trapezoid
(trapezium) |
trapezio
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英語とイタリア語を並べてみると、形を表す単語がよく似ていることが分かる。「円」の「cerchio=チェルキオ」と、「正方形」の「quadrato=クアドラート」以外はほぼそっくり。
「cerchio」の類語として、英語によく似た「circolo=チルコロ」という言葉もあるが、こちらは意味が広く、「円」のほか、「サークル、クラブ」といった意味合いもある。
「長方形」の「rettangolo=レッタンゴロ」は、「正しい、まっすぐな」を表す「retto=レット」と、「角度」を表す「angolo=アンゴロ」が組み合わさってできた単語。そういえば、英語にも「rectify=正す」という単語がある。
多角形
図形
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英語
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イタリア語
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1
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四辺形
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quadrilateral
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quadrilatero
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2
|
五角形
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pentagon
|
pentagono
|
3
|
六角形
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hexagon
|
esagono
|
4
|
七角形
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heptagon
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ettagono
|
5
|
八角形
|
octagon
|
ottagono
|
6
|
九角形
|
nonagon
|
ennagono
|
7
|
十角形
|
decagon
|
decagono
|
8
|
十二角形
|
dodecagon
|
dodecagono
|
「正方形」の「quadrato」に対し、「四辺形」の「quadrilatero=クアドリラテーロ」は、4つの辺でできている形を意味する単語。あまり使うことはなさそうだが、一応入れてみた。
多角形でよく知られているのは、アメリカ国防総省の別名で有名な pentagon だろう。この「penta」というのは、ギリシャ語で「5」を表す πέντε から来ている。このほか、多角形を表す言葉の接頭辞は基本的にギリシャ語。
三次元の図形
図形
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英語
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イタリア語
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1
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球
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sphere
|
sfera
|
2
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立方体
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cube
|
cubo
|
3
|
直方体
|
cuboid
|
cubico
|
4
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三角柱
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Triangular
prism
|
prisma
triangolare
|
5
|
円柱
|
cylinder
|
cilindro
|
6
|
三角錐
|
triangular
pyramid
|
piramide
triangolare
|
7
|
正四角錐
|
square
pyramid
|
piramide
quadrata
|
8
|
円錐
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corn
|
corno
|
この中でなじみがあるのは「cilindro(円柱=チリンドロ)」くらい。英語の cylinder とよく似ている。「チリンドロ」という語感から、スペイン料理の「チリンドロン」が連想されるが、こちらはカードゲームの名前が由来とのことで、円柱とは関係ないようだ。
また、「円錐」を表す「corno(コルノ)」は、英語の corn と同じく、アイスクリームのコーンのことも表す。「copetta(カップ=コペッタ)」と合わせて覚えておくとよさそうだ。
ついでに多面体
図形
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英語
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イタリア語
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|
1
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正四面体
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tetrahedron
|
tetraedro
|
2
|
正六面体
|
cube
|
cubo,
esaedro
|
3
|
正八面体
|
octahedron
|
ottaedro
|
4
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正十二面体
|
dodecahedron
|
dodecaedro
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「オッタエドロ」とか「ドデカエドロ」とか、何だかものものしい響き…。まあ、使うことはないでしょうね…。
おまけ:卵型の語源は卵
サンマルツァーノのようなトマトの形を表す単語として、「oblungo(オブルンゴ)」と聞いたとき、「ovale(卵型の)」と「lungo(長い)」を合わせた単語かと勘違いし、「ovalungo」かと思ってしまった。正しくは、「lungo(長い)」に接頭辞の「ob-(~に向かって)」がついた形であり、卵型とは関係なかった
(;;)。
で、この時、「卵型」という単語が、「卵」が語源となっていることに初めて気づいた。卵の形だから、卵型。何をあたり前のことを!と言われそうだ。しかし最初にイタリア語で
ovale を覚えたとき、「英語と似てるなぁ」と思ったくらいで、卵の「uovo(ウオヴォ)」と関係があるとは考えてもみなかった。(英語の
egg はゲルマン系の語源なので、oval とは関係ないため)
卵が元になっていると気づいてみれば、「ovale」という単語に卵の形のイメージが伴うようになる。単語というのは、このようにイメージと合わせて覚えるのが効果的のようだ。
参考:
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