2018年7月20日金曜日

イタリア語なるほどメモ31「否定と肯定の間は?」





肯定も否定もできないときの言葉は?



日本語はあいまいな言語で、「Yes」と「No」がはっきりしない、などと言われることがある。よく考えれば、言語として断定の表現がないわけではない。これは、言葉の使い方の問題だ。日本人が即答を避けたり、婉曲的な表現を使うことが多いため、このように言われるようになったのではないだろうか。



もちろん、肯定も否定もできない状況は、誰にでもあるわけで、日本語の「たぶん、おそらく」にあたる言葉はどの国の言葉にもある。英語なら、maybeperhapsprobably などだ。



イタリア語で「たぶん」は?


イタリア語にも「たぶん」を表すいくつかの単語がある。forse、(フォルセ)、probabilmente(プロバビルメンテ)、chissà(キッサ)、magari(マガーリ)など。




いずれの単語も会話の中でふつうに使われる。では、何か違いがあるのだろうか?さっそく調べてみた。


forse

意味は、不確実であること、可能性があること、おおよそ、となっている。語源はラテン語の fŏrsit で、「運、場合」を表す fors から。「運がよければ、そうなるかも…」といった感じだろうか。


probabilmente

可能性があること。形容詞の probabile(証明できる、可能性が高い)の副詞形。
probabileは、ラテン語の probare(認める)から派生した probabĭlis が語源。


chissà

疑いを表す場合と、「たぶん」を意味する場合の両方に使われる。語源は、「Chi lo sa?」「Chi sa?」(誰が知ってる /誰が分かる?)から。英語で言えば、Who knows?



magari は特別な言葉


日本語に訳すと、「たぶん、おそらく」または、「できれば」という意味になる。実はこの magari という言葉は、イタリア語独自の表現。英語にも一言で表せる表現はないようだ。


単語としては、感嘆詞、副詞、接続詞としての用いられ方がある。いずれも、「可能性は低い(ない)が、できればそうなればいい」という気持ちが含まれる。


Wikzionario の例文はこんな感じ。

"Sei miliardario?" "Magari!"
「あなたって、大金持ちなの?」「だったらいいけどね!」

"Andiamo a mangiare assieme?" "Magari, se non sarò troppo stanco."
「ご飯食べに行こうか?」「あんまり疲れてなかったらね」


また、辞書サイトでは、magari は「可能性があること」という意味もあると書いてある。いずれにしても、実現を希望する気持ちを込めたいときに使われるようだ。


語源は「幸せな」「神の祝福を受けた」 という意味のギリシャ語 μακάρι。実現するのは幸せなことだ、というのが元になっているということか、実現するのは、神様のおかげ、というのが元々だったのかもしれない。



  
誘いや提案を受けて、断ざるをえないとき、「本当はそうしたいんだけど」という気持ちを表せる便利な言葉が magari。この言葉がうまく使いこなせるようになると、イタリア語会話も一皮むけるのではないだろうか。


参考:
magari:



おまけ



イタリア語の姉妹語であるスペイン語やフランス語にも、magari のような、願望を込めた「たぶん」という言葉はないようだ。一方、スペイン語では、「たぶん」を表す quizás(キサス)という単語があ。これは、音から分かるように、イタリア語の chissà と同じく、ラテン語の qui sapit(誰が分かるだろうか)が語源となっている。






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