2018年6月29日金曜日

イタリア語なるほどメモ28「魚の名前」





海の幸を使ったイタリア料理


イタリア料理と言えば、オリーブオイルやトマトをたっぷりと使うイメージ。だが、実はこれは、南イタリアに見られる特徴。また、魚介類を多く使うのも地中海に面した南イタリアだ。


魚介類を使うイタリア料理としては、ボンゴレスパゲッティやイカ墨パスタがすぐに思い浮かぶ。もちろん、使われる魚介の食材はさまざまで、アサリやイカに限らない。




この写真は先日食べた「海の幸のリングイーネ」。具材はカラまで柔らかい小エビと、アサリ、ハマグリ。具だくさんの魚介のコクと、もっちりとしたリングイーネの相性が抜群で、とてもおいしかったです!


イタリア語で「海の幸」は、「frutti di mare(フルッティ・ディ・マーレ」。frutti frutto(フルーツ)の複数形、直訳すれば、「海のフルーツ」ということ。海産物を愛する日本人とイタリア人が、魚介類を同じように表現するというのは、おもしろいものだ。



 イタリアで食べられている意外な魚介類


マグロやカジキは一般的な食材。タコやイカも南イタリアではよく食べられている。エビやカニ、貝類もさまざまな種類がある。

そんな中で、私が「へぇ~、イタリアでも食べるのか~」と思った意外な食材が2つある。その一つはウニ。食べ方としては、日本人のように、生のままでも食べるし、調理にも使う。私が食べたことがあるのは、パスタに生ウニを乗せたもの。


イタリア語でウニは「riccio di mare(リッチョ・ディ・マーレ)」。riccio は、「ハリネズミ」という意味。ふつう料理にはたくさん使うので、複数形で「ricci di mare(リッチ・ディ・マーレ)」と言う。「リッチ」という音から、何となく英語の「rich」が連想されて、まさに「豊かな風味」というイメージを覚える。




もうひとつは、ウナギ。スペインではウナギの稚魚の料理があるが、イタリアでは、成長したウナギが料理に使われる。日本のように開いて捌いたものではなく、ぶつ切りで調理するのがふつう。


そして、ウナギが特に食べられるのが、クリスマス。ローストや煮込み、酢漬けなどで食べるとのこと。宗教的にクリスマスイブは肉を食べず、魚料理を食べるため、ボリュームのあるウナギが食されるようになったようだ。




ウナギはイタリア語で「anguilla(アングイッラ)」。これは、ラテン語の anguis(へび)から来ている。


  

魚の名前いろいろ



魚介類で覚えておきたいものを、種類別にまとめてみた。


カツオの「palamita(パラミータ)」というのは、何だか般若心経のお経みたいだ。イタリア語は日本語と同じで「母音+子音」の発音体系。音として日本語が連想されるものがけっこうある。ハマグリの「cappa liscia(カッパ・リッシャ)」は、「河童」を思い浮かべてしまう (≧▽≦)


日本語
イタリア語
読み方
カタクチイワシ
acciuga
アッチューガ
ウナギ
anguilla
アングイッラ
ニシン
aringa
アリンガ
カツオ
palamita
パラミータ
タラ
merluzzo
メルルツッオ
ヒラメ
rombo
ロンボ
サケ
salmone
サルモーネ
イワシ
sardine
サルディーネ
サバ
sgombro
スゴンブロ
スズキ
spigola
スピーゴラ
エビ・カニ
イセエビ
aragosta
アラゴスタ
クルマエビ
gambero
ガンベーロ
小エビ
gamberetto
ガンベレット
カニ
granchio
グランキオ
貝・ウニ
ホタテ貝
capasanta
カパサンタ
ムール貝
cozza
コッツァ
アサリ
vongola
ヴォンゴラ
ハマグリ
cappa liscia
カッパ・リッシャ
カキ
ostrica
オストリカ
ウニ
riccio di mare
リッチョ・ディ・マーレ
イカ・タコ
ヤリイカ
calamaro
カラマーロ
コウイカ
seppia
セッピア
タコ
polpo
ポルポ
その他
イソギンチャク
anemone di mare
アネモネ・ディ・マーレ
クラゲ
medusa
メドゥーサ
タツノオトシゴ
ippocampo
イッポカンポ
ナマズ
pesce gatto
ペッシェ・ガット
ヒトデ
stella di mare
ステッラ・ディ・マーレ
*ものによって、複数形で使うのがふつうのものもあります。

  

イカはいかが?



イカは、seppia calamaro の2つの単語がある。seppia(セッピア)は「セピア色」の語源。代表的な料理が、イカ墨スパゲティ「pasta al nero di seppie(パスタ・アル・ネロ・ディ・セッピエ」だ。


一方、calamaro のほうは、リングフライがポピュラー。イタリア語で、「calamari fritti(カラマーリ・フリッティ)」だ。また、イタリアでは、calamari で、イカ全般を指す。




この写真では、ちょっと衣が厚めだが、イタリアで食べたものは、もっと薄くて軽い衣だった。表面はカリっと香ばしく、中のイカはふっくらと柔らか。ボリュームも一人前でこれの3倍くらいあったような…


イカの calamari(カラマーリ)というのも、何だか日本語の「空回り」みたい。



おまけ



日本語で果物のことをフルーツと言うが、これはよく考えると、複数形の発音。単数なら「フルート」となるはずで、「フルーツ類」というのは、重複した表現ですね。



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