2018年6月26日火曜日

ことばと文化18「半端ない、は世界に広まるか?」




 サッカーが生んだ流行語


「大迫、半端ないって!」


半端ない

2018ワールドカップ、ロシア大会で、この「半端ない」という言葉が大いに盛り上がっている。すでにあちこちで紹介されているが、この言葉は、今回突然生まれたものではない。2009年の高校サッカーの試合後の取材映像がきっかけ。その後、大迫選手の並でない力量を表す言葉として、サッカーファンの間で定着している。


詳しいいきさつをご存じない方は、こちらのサイトをどうぞ。


日本チームの好調さとも、相まって、「半端ない」は、テレビのニュースやワイドショーでも頻繁に取り上げられている。耳にすることが多いので、ふだん、この言葉を使わない人も、ちょっと使ってしまいそうになるのではないだろうか。


さらに、英字新聞ザ・ガーディアン、ウェブ版の選手紹介ページには、大迫選手を「hampanai」プレーをする選手として紹介。言葉の意味として、「awesome(すごい)」「incredible(信じられない<くらいすごい>)」という説明が書かれている。


「半端ない」は、「かわいい」や「アニメ」と同じように、世界に広まるのだろうか?




 「半端ない」はいつから?


「半端ない」という言葉は俗語。Weblioには、「半端でない」という表現で取り上げられている。もともと1980年代に「半端ではない」という言い方があり、それが、90年代に入って「半端ない」に変わっていった。2000年代には、「パない」という表現も出てきた。


また、2011年度の「文化庁 国語に関する世論調査」で、「最近多く耳にする言葉の使われ方」にも「半端ない」が取り上げられている。


「半端ない」は若い世代中心に、表現としてすでに長い間定着しているわけだ。今年1月発行の最新の広辞苑にも、「半端ない」という言葉のまま掲載されている。



さらに、今回の盛り上がりで、NHKのアナウンサーすら、「半端ないヘディング」といった表現を使っている。「半端ない」は、単なる流行語から、言葉としての市民権を得ていくのかもしれない。


なお「半端ないヘディング」という表現については、「放送用語として正しいのか?!」という指摘を受け、後日説明がなされている。こちらをどうぞ。


参考:



日本語は世界に発信できるか?



日本語から世界に通じるようになった言葉はいろいろある。先にあげた、「かわいい」や「アニメ」のほか、「ひきこもり」「残業」「過労死」など。日本独特の文化やモノの名前以外は残念な表現が多い。


一方、「もったいない」という言葉もランクイン。やはり、このような誇らしく思える言葉をもっと発信していきたいものだ。


「大迫、半端ないって」がサッカーファンに根付いたのは、単に「すごい」という意味合いだけでなく、アマチュアスポーツのすがすがしさや、仲間への思いやりといった深みのある言葉だったからではないだろうか。


ネット上では、「半端ないが世界共通語に!」とフライング気味の表現も見受けられるが、今のところ、「hampanai」でヒットするのは、ガーディアン紙のみ。とは言え、今後の日本チームの活躍によっては、本当に世界に広まっていくかもしれない。その際は、ぜひ、スポーツマンシップの気持ちが含まれた、あたたかみのある言葉として使われるようになってほしいものだ。


参考:
海外で意味が通じる意外な日本語ランキング








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