お疲れ様を英語で
「英語しか分からない同僚に、『お疲れ様』って、どう言ったらいいの?」
しばらく前、フェイスブックでこんな記事を見かけた。明らかに英語レッスン等の広告であるとは分かったが、興味をそそられ、ページにアクセスした。
ところが、ページに回答は見つからなかった。そこでメルマガ登録までし、送られる動画もすべて見たが、結局レッスンの宣伝のみ。「お疲れ様」の答えは一ミリも得られなかった。
結局ふつうにウェブ検索してみることになった。
やはり多くの人が、この表現に興味があるらしく、たくさんのサイトがヒット。中でもこのサイトが、説明や表現の例などがうまくまとまっていた。
お疲れ様には3種類の使い方がある。
1.職場などでの、単なるあいさつ
2.仕事終わりのあいさつ
3.仕事のねぎらいの言葉
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1.の場合は、「Good
morning.」や、「Hi. / Hello.」になるし、2.なら「See you tomorrow.」、3.なら「You did good today.」など。その時の状況や自分の気持ちに合った表現を使う、という説明も、非常に的を得ていると思う。
一方、日本語の「お疲れ様」が持つ、「含み」のようなものは、英語には表現しきれない気がする。「お疲れ様」には、多少なりとも(これも英語にならないが)「たいへんですね」「たいへんでしたね」といった気持ちや、なんらかの感謝の気持ちが含まれているのではないだろうか。
もし、日本において、このあいさつを交わしたいのであれば、最初に「お疲れ様」がどのような言葉であるかを説明し、その後は「お疲れ様」で通すのもいいのではないかと思う。
英語にできない日本語
「お疲れ様」に限らず、英語を勉強していると、一言で表すことのできない日本語が多くあることに気づく。日本独自のものだったり、日本の文化に根差すものだったり。日常会話や、感情の表現など、「これ、英語でどう言うんだろう」と考えてみると、実は日本語自体の理解が甘かったりすることが分かる。
思い浮かぶものを、分類してまとめてみた。このほかにも、まだまだたくさんあるだろう。
英語になっている日本語
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かわいい(Kawaii)
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漫画( Manga)
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津波(Tsunami)
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引きこもり(Hikikomori)
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過労死(Karoshi)
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すきやき( Sukiyaki)
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行為、行動
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積ん読
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森林浴
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忘れ物
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お中元・お歳暮
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年賀状
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あいさつ
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お疲れ様
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ご苦労様
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どうも
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すみません/すいません
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お世話になっています
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よろしくお願いします
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お出かけですか
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行ってきます
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ただいま
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いただきます
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ごちそうさま
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感情、情緒
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切ない
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思いやり
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なつかしい
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もったいない
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生きがい
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わびさび
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「わびさび」は、ニューヨーク・タイムズのベストセラーになった、エラ・フランシス・サンダースさんの「翻訳できない世界のことば」にも挙げられている。
もったいない
「もったいない」は日本独自の表現であるとともに、物を大切にする日本古来の良き文化を端的に表す言葉だ。
この言葉をテーマにした環境保護活動、「Mottainai」運動というのがある。ケニア出身の環境保護運動家、ワンガリ・マータイ氏が2005年から始めたものだ。来日した際、この言葉とその意味合いに感銘を受け、「Mottainai」をテーマに環境保護を訴え続けた。
マータイ氏は2011年に逝去したが、その精神はブラジルの環境保護活動家、マリナ・シルバ氏に受け継がれ、もったいない運動は現在も継続している。
参考:Wikipedia
日本語から英語になった言葉を見ると、「引きこもり」「過労死」といった、残念な言葉がある一方、「もったいない」といったすばらしい言葉が入っているのは、非常にうれしいことだ。このような価値ある日本の文化をもっとグローバルに発信すべきではないだろうか。
おまけ
上にまとめたような日本独自の言葉のほか、英訳がある言葉についても、ニュアンスが異なるものがある。たとえば、「夕暮れ」。英語で、evening とか、sunset と言っても、日本語が含む「なつかしさ」や「わびしさ」といった情感までは感じられない。やはり言葉というのは、奥深いものだ。
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