ジョージアはどこ?
「ジョージア」と聞いたら、まず浮かぶのは何ですか?
缶コーヒー?
アメリカの州?
大相撲、栃ノ心の大関昇進ニュースなどで、国の名前と思う人も多いかもしれない。ジョージアは黒海に面した国。政治や経済の関係で、東ヨーロッパに分類されたり、西アジアの国とされてたりするそう。
ジョージアの山岳地帯
日本では、数年前までこの国を「グルジア」と呼んでいた。
ジョージアは1991年にロシアから独立。それを機に、ロシア風の呼び方である「グルジア」を使っている国々に対して、「ジョージア」への変更を要請。日本においては、両国首脳会談、法律改正を経て、2015年より、「ジョージア」という国名を使うこととなった。
実はこの名前は英語読み。正式国名は「サカルトヴェロ」だそう。「ジョージア」は、日本が
Japan と呼ばれるように、国際社会で使う名前となっている。
参考:
ウィキペディア(ジョージアの国名)グルジアはジョージアが正しい? 国名呼称の不思議
国の呼び方はバラバラ?
ジョージアのように、国からの要請で呼び方が決まるのは納得がいく。一方、その他の国の呼び方を見てみると、特に決まりがないようだ。その国の発音にしたがって表記されているもの、英語での呼び名に従っているもの、そのどちらでもないものが混在している。
いくつかの国について比較してみた。たとえば、イタリアはイタリア語での呼び方なのに、スペインは英語、ドイツやオランダは、英語でも原語でもない呼び方となっている。
日本語
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英語
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原語
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ドイツ
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Germany
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Deutschland
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フランス
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France
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France
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スペイン
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Spain
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España
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イタリア
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Italy
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Italia
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ロシア
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Russia
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Rossíja
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オーストリア
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Austria
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Österreich
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スイス
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Switzerland
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Schweiz
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ギリシャ
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Greece
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Eláda/Elláda
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オランダ
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Netherlands
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Nederland
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メキシコ
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Mexico
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México
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アルゼンチン
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Argentine
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Argentina
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ブラジル
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Brazil
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Brasi
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エジプト
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Egypt
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Mişr
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黄色のところが、日本語のもとになったと思われる国名表記。
Wikipedia
「国の名前一覧」には、国連参加国を中心とした206か国の名前が掲載されている。これを見ると、英語の呼び名をもとにしているものが多いことが分かった。英語発音に厳密でないものもあるが、ざっと見て英語以外から由来すると思われる国名は12だった。これには、中国、韓国など、漢字の表記の国も含まれる。
一方、英語に準じた国名の中には、英語発音ではなく、スペルから作られたと思われるものも混じっている。こんな国々。
日本語
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英語
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英語の発音に準じたカタカナ
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オーストラリア
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Australia
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オーストレイリア
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スウェーデン
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Sweden
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スウィードゥン
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ベトナム
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Vietnam
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ヴィエトナム
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ルーマニア
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Romania
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ロウメイニア
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イスラエル
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Israel
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イズラエル
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アルゼンチン
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Argentine
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アージェンティーン
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どうせ英語から作るなら、もうちょっと発音に合わせてくれればよかったのに、と思ってしまう。英語の国名やその発音を覚えるのが、もっと楽だったろう。
基本的にほとんどの国は英語名を持っているのだから、国名は英語表記にそろえてしまったほうがいい、というのが私の考えだ。スペインをエスパーニャでなくスペインと呼ぶことと、ドイツをジャーマニーと呼ぶのは、何ら変わりはないのではないだろうか。
おまけ
日本では、江戸時代以前は、スペインを「イスパニア」と呼んでいた。昔は、原語のエスパーニャに近い発音だったわけだ。逆にイタリアは、英語発音またはフランス語発音をもとに、「イタリー」と呼ばれていた時期がある。
一方、このように外来語の表現が、大きな理由なく途中で変わるケースは少ない。日本における外来語は、最初に紹介された表現が定着するのがふつう。いったん使われ始めると慣用が優先するので、後から直すのは難しい。
これからも外来語はどしどし入ってくる。新しく外来語を紹介するときは、のちのちも有効活用できるよう、しっかり考慮した表現を使っていただきたいものだ。
もう一つおまけ
原語でも英語でもない国の名前豆知識。
ドイツ:
ドイツ語で「ドイツ人・ドイツの」を表す Deutsch (ドイチェ)から。
イギリス:
イギリスが日本に紹介されたのは、江戸時代。当時は、United Kingdomではなく、Englandだけの国家。オランダ語の「Engelsch (エンゲルス)」やポルトガル語の「Inglez(イングレス)」がもとになったとのこと。
オランダ:
オランダは、戦国時代にポルトガル人宣教師から紹介された。当時オランダの中で、もっとも有力だった州がホラント州(Holland)。これが、ポルトガル語で「オランダ(Holanda)」と紹介された。国の一部が国名になってしまったわけだ。
ギリシャ:
ギリシャはラテン語で「Graecia(グラエキア)」。宣教師により、ポルトガル語で「Grecia(グレスィア)」と紹介され、定着。
明治時代前に紹介された国は、オランダ語やポルトガル語がもとになっているようですね~
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