「怖い」には種類がある
実は、私はある小さい生き物が苦手だ。実物は当然ながら、写真やイラストでさえも恐怖を覚える。
先日、イタリア語レッスンでその話をした。その生き物が苦手になったきっかけは、子供のころの体験が原因らしいと説明した。すると、「それは、paura(怖い)ではなく、fobia(恐怖症)だ」と言われた。
そう言われてみて、日本語でも、「こわい」という感覚をあまり気にして使い分けていないことに気づいた。まず、paura と fobia について、調べてみた。
イタリア語の「怖い」、paura と
fobia
イタリア語で「~が怖い」と言うとき、よく使う表現は、Ho paura(オ・パウーラ=直訳すると、「恐怖を持っている」)。「私は犬が怖い」だったら、Ho paura dei cani. となる。
一方、単なる怖さを超えて、過度の恐怖を覚える場合は、「fobia(フォビア=恐怖症)」という単語を使って、Ho la fobia di ~ のようになる。
この fobia という単語は、英語にもある。phobia のスペルで「恐怖症」の意味。英語やイタリア語では、単語のうしろに
fobia/phobia をつけて、「ナントカ・フォビア」にすると、「~~恐怖症」ということばになる。
イタリア語のサイトで調べたところ、fobiaのつく単語は、何と71個もあった!
聞いたことがあるものをまとめたのがこれ
↓
イタリア語
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読み方
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意味
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acrofobia
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アクロフォビア
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高所恐怖症
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claustrofobia
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クラウストフォビア
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閉所恐怖症
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agorafobia
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アゴラフォビア
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広場恐怖症
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idrofobia
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イドロフォビア
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恐水症、狂犬病
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「犬恐怖症」という言葉もあり、「cinofobia(チノフォビア)」というそうだ。
参考:
そのほかの「怖い」の言い方
さらに、イタリア語で、「怖い」の言葉は、paura、fobia だけではなかった。下記は類語サイトから拾ったもの。恐怖にもいろいろな種類があるようで、覚えるには覚えても、使い分けるのは難しそうだ・・・
イタリア語
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読み方
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意味
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ansia
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アンシア
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不安
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fifa
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フィーファ
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恐怖
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panico
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パニコ
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パニック
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preoccupazione
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プレオクパツィオーネ
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懸念
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sgomento
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スゴメント
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恐怖
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spavento
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スパヴェント
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恐怖
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terrore
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テローレ
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恐怖
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tremarella
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トレマレッラ
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震え
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trepidazione
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トレピダツィオーネ
|
恐怖
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参考:
日本語の「恐い」もいろいろ
では、日本語はどうだろうか。
「恐い」と「怖い」や、「怖い」と「恐ろしい」など、意味の違いを意識したことはなかった。
調べてみたところ、ざっくりとこういう感じ。
- 「怖い」は常用漢字、「恐い」は常用漢字ではない。新聞などでは、「怖い」が使われる。
- もともとの漢字の意味として、「怖い」は主観的、「恐い」「恐ろしい」は客観的
ただ、現在では、辞書でもほぼ同じ説明を載せているようだ。使い分けできないのもいたしかたないのかもしれない。
なお、「おそれる」に関連した漢字は、「畏れる」「懼れる」「悸れる」など、こちらもたくさんある。漢字辞典オンラインのページには、何と、29種類も!見たこともない漢字ばかり・・・
イタリア語で
fifa に「恐怖」の意味があるとは、知らなかった。イタリア人は、「FIFA
World Cup」と聞いて、変な感じにならないのだろうか。あ、今回は出ていなかったですね ( ̄▽ ̄;)
もうひとつおまけ
私が怖い「小さな生き物」について、別に知られて困るわけではない。しかし、あまりに怖いので、口にするのも、文字にするのもキツイのだ。実際、家族も私の前では、「アレ」とか、「嫌いなヤツ」などと言って、そのものズバリの言葉は使わない。
とは言え、イタリア語で会話したときは、その単語を使うことができた。やはり、母国語ではない言葉というものは、受け止める感覚が鈍いということだ。
ちなみに、その単語は verme
です (- -;;ノ)ノ
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