モナ・リザの本当の名前は?
モナ・リザです。
ただし、イタリアやフランスで、この絵画は別の名前で呼ばれている。イタリア語では La Gioconda(ラ・ジョコンダ)、この作品が展示されているフランスでも、La
Joconde(ラ・ジョコンド)だ。
レオナルド・ダ・ビンチ モナ・リザ(La Joconde)
パリ、ルーブル美術館
両方とも、この絵に描かれている女性を指している。フランチェスコ・デル・ジョコンド氏の妻モナ・リザだ。調べたところ、「モナ」というのは、「Ma donna(私の妻)」の略した形。つまり、「La Gioconda」と言えば、「ジョコンダ氏の妻」で、「Mona Lisa」というのは、「私の妻、リザ」ということになる。
日本人としては、「モナ・リザ」という名前に慣れてしまっているので、「ジョコンダ」と聞いても、何だかしっくりこない。
最後の晩餐
この壁画にもふたつの表現がある。ひとつは、日本語や英語のタイトルと同じ、「最後の晩餐」を表す
L’ultima Cena(ルルティマ・チェーナ)。そしてもうひとつは、Il
Cenacolo(イル・チェナーコロ)だ。
レオナルド・ダ・ビンチ「最後の晩餐」(壁画)
ミラノ、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院
イタリアでは、Cenacoloのほうが一般的に使われているようだ。もともとは、「一日のうち、もっとも主要な食事を取る場所」という意味で、旧約聖書に書かれている、キリストの最後の晩餐の場所を表すようになったらしい。Il Cenacolo は場所を表し、L’ultima Cena は晩餐そのものを意味している、ということだ。
なお、Il Cenacoloというのは、レオナルド・ダビンチが描いたものだけでなく、ほかにも複数ある。テーマが晩餐なので、食堂の壁に描かれているものが多いとのこと。
受胎告知
美術音痴だった私が、宗教画やルネサンス絵画に興味を持つきっかけとなったのが、プラド美術館にあるフラ・アンジェリコの「受胎告知」。青や金色が使われており、華々しさとともに荘厳さのある絵画だ。
フラ・アンジェリコ「受胎告知」マドリッド、プラド美術館
By Prado: info picture, Public Domain,
日本語では「受胎告知」だが、原語では L’Annunciazione。単語としては「告知」という意味。Aが大文字で、聖書の「受胎告知」を表すようだ。(プラドではAnnunciación)
このテーマの絵画は、数々の大物芸術家が描いている。上記のフラ・アンジェリコのほか、シモーネ・マルティーニ、フィリッポ・リッピ、ムリーリョ、ボッチチェッリ、レオナルド・ダビンチなど。エル・グレコ作のものは、日本の大原美術館にある。
さらに、フラ・アンジェリコは受胎告知のテーマで、多くの作品を残している。有名なのが、フィレンツェ、サンマルコ美術館の階段上にあるこの作品だ。プラド所蔵のものとほぼ同じ構図の壁画。
フラ・アンジェリコ「受胎告知」(壁画)フィレンツェ、サンマルコ美術館
By carulmare ANGELICO, Fra Annunciation,
1437-46 Taken on 2 February 2008, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5446878
サンマルコ美術館はもともとは修道院。美術館とは言え、かなり地味な建物だ。この絵は、薄暗い廊下を渡って、階段下にくると、いきなり目の前に現れる。プラドのものとはまた違った美しさ、荘厳さがある作品だ。
壁画はフレッシュ
壁画というとフレスコ画という技法が有名。イタリア語では、fresco
で、「新鮮な、涼しい」といった意味。英語なら fresh だ。生乾きのしっくいの上に描くやり方。サンマルコ美術館の受胎告知は、この手法で描かれている。
一方、レオナルド・ダ・ビンチの最後の晩餐は、同じ壁画だが、テンペラ画だ。フレスコのやり方だと、時間に制限があるので、この手法を取ったとのこと。テンペラはイタリア語で
tempera。顔料にほかの材料を混ぜる技法で、「混ぜる」という意味のtemperare
から来ている。
おまけ
tempera という単語は tempra とも言われることがあるらしい。カタカナなら、「テンプラ」だ。天ぷらはポルトガル語から来たと言われているが、一節によれば、テンペラ画とも関係があるらしい。
また、チョコレートを溶かして固めることを「テンパリング」という。これもテンペラの類語のようだ。
もうひとつおまけ
ルーブル美術館やプラド美術館など、ヨーロッパの美術館は、だいたい予約なしでも問題なく鑑賞できる。一方、イタリアでは、ウフィッツィ美術館など、予約が必要なところがある。(予約なしで行くと、相当待たされる)最後の晩餐があるサンタ・マリア・デッレ・グラツィエも同様。
実は、私が最後の晩餐を見に行った時、予約が必要とは知らずに、飛び込みで行ってしまった。ところが、たまたま観光客の団体が入場するところで、ちゃっかり一緒に入れてしまった。特にお咎めもなく、ガイドの説明までありがたく、聞かせていただくことができた。
また、バルセロナの観光スポット、カタルーニャ音楽堂も、ガイドツアーをするには予約が必要だったのだが、やはり団体客にまじって入れてもらえた。南欧のおおらかさに感謝、である。
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