2018年5月29日火曜日

ことばと文化14「カタカナ語を考える」




アメフト? アメフット?



このところ、アメフトに関わるニュースが連日報道されている。記事の中で、「アメフット」という表記をよく見かけるようになった。それまで「アメフト」という言葉しか知らなかったので、違和感を覚えた。



調べたところ、「アメフト」と「アメフット」はもともと表記として共存していた。そして日本フットボール協会は、「アメフット」の表記を使っている。ニュースが多いので、協会発表などに合わせて、「アメフット」が頻出するようになったようだ。


確かに、フットボールの省略は「フト」では変だ。アメフトの方式で行けば、「フットサル」は「フトサル」になってしまう。



カタカナ表記は無法地帯



このブログの「外来語で語学力アップ」のところでも書いたが、同じ単語なのに、違うカタカナで表記されるものや、逆に、違う発音なのに同じカタカナで表記されるものがたくさんある。


カタカナ語・カタカナ表記というのは、おおむね最初に紹介された言葉がそのまま定着していくようだ。だから、音からカタカナに置き換えたもの代表的なものが、ヘボン式ローマ字の「ヘボン」)と、スペルからカタカナに置き換えたもの(代表的なのが、ヘボンと同じ言葉の「ヘップバーン」)の両方が存在するようになっていく。


ある意味、カタカナ表現は無法地帯になっているのではないか。


そこで、何かルールやガイドラインがないかと思って調べたところ、文部科学省のページに行きついた。



文部科学省「外来語の表記」
www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19910628002/k19910628002.html

 内閣告示第二号

一般の社会生活において現代の国語を書き表すための「外来語の表記」のよりどころを、次のように定める。

平成三年六月二十八日


平成3年というと今から27年前、1991年だ。「規則」ではなく、「よりどころ」となっている。中を見てみると、カタカナ表記を規定したり、取り締まるのではなく、慣例的に使われるものは、よしとする方針だ。下記のような一文があった。


「外来語や外国の地名・人名は,語形やその書き表し方の慣用が一つに定まらず、ゆれのあるものが多い。この用例集においても,ここに示した語形やその書き表し方は,一例であって,これ以外の書き方を否定するものではない」


結局、慣用的に使われている限り、何でもいいようだ。




過激に提案したい



私としては、外国語を入れる場合、なるべくもとの音に近い表記にすべきだと考えている。特に固有名詞については、その国で使われている発音になるべく近づけるようにすべきではないかと思う。


人の名前は言うまでもなく、地名についても、それぞれの国の発音に近い言葉で覚えておいたほうがいいというのが私の考えだ。




もちろん、原語に近い表記というのは現在でもあるわけで、過激でも何でもない。私が考えているのは、「原語と同じ発音」ということだ。


現在の日本語には、英語から入ったカタカナ表記があふれている。これをすべて、英語の発音で日本語に取り入れる、ということだ。そして、さらに過激に言えば、音だけでなく、表記についても、カタカナをやめて、アルファベット表記にしてしまえばいいのではないかと思っている。


もちろん、この提案には大きな問題点がいくつかある。しかし一方で、外国語教育への効果など、利点もある。


問題点 
  1. 何と言っても、日本語の発音に英語の発音が混じるのは気持ち悪い。

  2. 日本語に交じっている英語のカタカナ語をすべて正しく発音できる日本人はほとんどいない。もちろん、スペルをすべて正しく書ける人もほとんどいないだろう。英語教師の人で、発音もスペルも完璧に大丈夫です!と言う人はどれだけいるだろうか。

  3. 英語以外の外国語をどうするか。

  4. 縦書きの文章に横文字が入るのは読みにくい。

効果

  1. 今や英語教育は小学校から始まる。幼いころから英語の発音を学ぶことで、正しい発音を身につけることができる。大人になってから、LRVBや、日本語にない母音などの発音練習で苦労する必要がなくなる。

  2. 同時に正しいスペルを覚えることができる。

  3. Free market Flea market など、カタカナで区別できないものを、正確に表記できる。

長い目で見れば、日本人全体の英語力アップにもつながると思うのだが、ま、現実性はないですね。



おまけ



テレビなどでは、「アメフト」が「アメフット」と発音されることはないようだが、音で考えると、九州弁で天気を聞いているみたいだ。


雨、降っと?




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