イタリアの食事
イタリアの場合、朝は非常に軽く済ませるようだ。コーヒーだけ、または食べても小さなペストリー程度。昼は遅めなので、人によっては、お昼前に軽くパンやピザを食べるらしい。このような間食を「merenda(メレンダ)」と呼ぶ。
昼食と夕飯は、概して南欧では昼がメイン、夜はやや軽め、というパターンが多いらしい。とは言え、私の経験では、昼も夜もガッツリというのが南欧のイメージだ。
おやつはいつ食べる?
日本では、かつて朝夕の二食が普通であったころ、八つ時(午後2時~4時)に食べたから、「おやつ」。今でも、一度にたくさん食べることのできない幼児にとって、10時と3時の間食は大事な栄養補給だ。
最初に書いたように、イタリアでは昼食前にメレンダを食べる人がいる。そして、一日5回食べると言われるスペインでは、11時のおやつ「once (オンセ=11時と言う意味)」と午後に食べる「merienda (メリエンダ)」がある。また、イギリスで午後遅い時間にとるafternoon teaも有名だ。
食事の表現は?
おやつも含め、イタリア語、スペイン語、フランス語、英語での食事の名前はなかなか興味深い。一覧にまとめてみた。
イタリア語
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スペイン語
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フランス語
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英語
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朝食
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colazione
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desayuno
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petit déjeuner
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breakfast
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昼食
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planzo
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almuerzo
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déjeuner
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lunch
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夕食
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cena
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cena
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dîner
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dinner
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おやつ
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merenda
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merienda
once
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goûter
collation
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snack
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イタリア語、スペイン語、フランス語はおなじラテン語族なので、似ている単語が多い。しかしながら、三食の表現に関しては、イタリア語とスペイン語の夕食(cena)を除き、まったく違う単語だ。そこで、語源を調べてみた。
朝食:colazione(コラツィオーネ)
https://it.wiktionary.org/wiki/colazione
「一か所に集める」と言う意味のラテン語、collatio が語源。もとは、修道僧が夕方の礼拝で集まった後の食事を指していた。つまり、「一緒に食べる」という意味合いが含まれているわけだ。
昼食:pranzo(プランツォ)
https://it.wiktionary.org/wiki/pranzo
ラテン語のprandiumから。日中の食事、ということ。
夕食:cena(チェーナ)
https://it.wiktionary.org/wiki/cena
これもラテン語のcēnaから。夕方の食事ということ。
おやつ:merenda(メレンダ)
ラテン語のmerere(価値を与える、有用にする)と言う動詞の動名詞形、merendaが語源。つまり、おやつは栄養補給など、価値がある、ということだ。
おまけ
スペイン語とフランス語もちょっと調べてみた。面白いことに、スペイン語で朝食を表す「desayuno(デサジューノ)」と、フランス語で昼食を表す「déjeuner(デジュネ)」は、「絶食の後の最初の食事」ということで、まさに英語の「breakfast(断食を破る)」と同じ。なるほど、そう言われれば、desayunoとdéjeunerは似ている!
それと、イタリア語で朝食を表す「collazione」と、フランス語でおやつを表す「collation」が同じ。同じラテンの国でも、食事のスタイルの変遷によって、同じ単語が別の意味になっていったようだ。
もう一つおまけ
南欧の人々は、ワインやオリーブオイルをたっぷりと摂取する。にもかかわらず、アメリカなどに比べて、成人病が少ないという話を聞いたことがある。そのうえ、スペインでは一日5食!
ならばと、われわれ日本人が一日5回食べたらたいへんなことに!ラテン系のみなさんは、何においてもエネルギッシュ。おしゃべりひとつとっても、ものすごいハイテンション。日本人より消費するカロリーはだいぶ多そうだ。
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