クルマ産業とは?
まず最初に、全世界で車メーカーのある国がいくつあるか、ご存じだろうか。部品製造や組み立ての会社ではなく、独立して車本体の開発・製造を行う企業のある国のことだ。
そう聞かれて考えてみると、意外に少ないことに気づかれるのではないか。早くから製造を行っていたのは、アメリカ、ドイツ、イタリア、フランス、イギリス、スウェーデン、日本。少し遅れて韓国、中国。最近インドも加わった。
クルマは世界中で走っているのに、製造メーカーのある国はわずか10ヵ国。これは、車というものが特に高度な技術を要するためだ。部品の数や製造工程が膨大、それらがすべて完璧に組み合わさって、安全が担保される。
さらにデザインや性能も重要な要素だ。最近は車離れが進んでいると言われるが、今でも世の多くの人々にとって、かっこいい車はあこがれの存在だ。
あこがれのイタリア車
車好きにはイタリア車ファンも多い。Ferrari、Lamborghini、Maserati、Alfa
Romeo、De Tomasso、Lancia。どれも高性能でスタイリッシュなイメージだ。そしてこれらの社名・車名は、創業者や開発者の名前に由来している。
ところで、この名前を聞いて、車好きの人であれば、ひとつ大事なメーカーが抜けていることにすぐ気づかれるであろう。
そう。イタリアを代表する車メーカーのフィアット。今や幅広い産業に事業を拡大し、またクライスラーとの提携など、国際的にビジネスを展開するイタリア最大のコングロマリットだ。
今回紹介したかったのが、このFIATという名前。(前置きが長くてすみません)他のイタリア車と異なり、人の名前ではない。地名や、何かを意味する単語でもない。実は略語だ。
Fabbrica Italiana Automobili Torino (トリノのイタリア自動車製造所)
この頭文字、F、I、A、Tをとったもの。
単に「フィアット」と覚えていた時は、何となくイタリア語のような気がしていたが、確かにこのスペルはイタリア語的でもない。とは言え、立派な社名であることは変わらない。正式名称はFIAT S.p.A.だ。
略語はイタリア語で acronimo(アクロニモ)という。英語ならacronym(アクロニム)。アルファベット2-3文字の略語、たとえば、AM、PMやSNSなどであれば略語であることはすぐわかる。
一方、FIATのように、4文字以上あって、単語のように発音されるものは、略語とは気づかないものだ。英語にもそんな意外な略語がいくつかあるのだが、これは別口で書いてみたいと思う。
おまけ
FIATに似たイタリア語の単語で、fiato (フィアート)というのがある。これは「息」という意味。
もう一つおまけ
FIATはトリノが本社。トリノと言えば、あの荒川静香さんが金メダルを取ったトリノオリンピックが思い出される。今回の平昌オリンピックでも、トリノの話がよく出ていた。で、「トリノオリンピック」という言葉は、その抑揚のせいで、どうしても、「鳥のオリンピック」と聞こえてしまう。そして、なぜかニワトリが競技を行っているイメージが沸いてしまうのだ。
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