2018年8月2日木曜日

ことばと文化23「お国なまりの英語」





外国語は母国語の話し方に引きずられる




ネイティブでない人が話す外国語というのは、たいてい、それぞれの母国語の発音・イントネーションに影響される。日本人が話す英語の場合、ジャパニーズ・イングリッシュとか、カタカナ英語と呼ばれ、英語ネイティブの人にはだいぶ分かりにくいらしい。


そしてお国なまりは日本人に限ったことではない。中国人なら中国語なまり、タイ人はタイ語なまり、イタリア人はイタリア語なまりになる。



聞き取りにくいお国なまりは?



国で言うと、インドの人の英語は聞き取りにくいという話をよく聞く。インターネットには、ネイティブの人でも分かりにくい、というコメントもある。


また、ラテン系の言語を母国語とする人の、巻き舌や、Hが落ちる発音が分かりにくい、という人もいる。(もちろん、どの国の人でも、ネイティブ・ノンネイティブ両方にとって、分かりやすい英語を話す人もいます)




一般的に言われている分かりにくい理由は大きくふたつ。


1.独特のイントネーション・発音で話すこと
2.切れ目なく、早口で話すこと


日本人にとって、外国語なまりの英語が聞き取りにくいのは、上記2つの理由のほかに、さらに、ふだん聞きなれない単語や表現が多く使われる、ということがあるようだ。その意味で、アメリカ英語やイギリス英語など、ネイティブの英語のほうが聞き取りにくい、という人もいる。



日本人にとって分かりやすいノンネイティブの英語は



やはり、日本人の話す英語ではないでしょうか。


発音やイントネーションも聞きなれたものだし、和製英語が混じったとしても、当然意味はよく分かる。だから、どの国の人よりも楽に理解することができるだろう。




私の場合、日本人の英語以外に、特にコミュニケーションがとりやすい、と思ったお国なまりが二つある。それは、中国語・韓国語を話す人の英語。(これは、あくまでも個人の感想で、まったく違う意見の方もいらっしゃるかとは思います)


実は中国語なまりの英語は、往々にして独特のくせがあり、聞き取りにくいという人も多い。しかし面と向かって話すと、なぜか話が通じやすいのだ。特に筆談を交えるときなど、英語で話す以上に深いコミュニケーションが取れる感覚がある。


韓国の人の英語の場合は、音も聞き取りやすい。韓国語はさまざまな外国語の中で、最も日本語の発音に近いからではないだろうか。また、韓国語は文法も日本語と似ているためか、話の進め方や、反応の仕方に親近感のようなものが感じられる。

日本は中国・韓国と古来の文化を共有している。中国や台湾、韓国の人と英語で話すとき、本質的な共通点のようなものを感じるのは、私だけだろうか。



聞き返しても分からないときは…



癖のある英語を話す人とコミュニケーションを取るときは、聞き返すときが難しい。たとえば、もともとが機関銃のように早口なのに、聞き返されると、さらに輪をかけたスピードで、説明してくれたりする。


さらにもう一度聞き返しても、だいたい結果は同じだ。むしろ、説明を膨らませてくれて、一層聞き取れなくなったりする。3回目はさすがに、「もう一度」とは言えず、分かったふりをするか、話題を変えるしかない。


こういう時は、正直に、「もう少しゆっくり話してください」とか、「もう少し、簡単に説明してもらえますか」などと言ったほうがいいのだろう。分かったふり、というのは、相手にとっても、自分にとっても、決していいことではない。





聞き取りやすいかどうかは、「場数」



これまで、ノンネイティブの人のいろいろな英語を聞いてきた。ネイティブ並みに話す人もいれば、お国なまりを強く引きずっている人もいた。


そして、その人の英語が分かりやすいかどうかは、コミュニケーションの回数に応じるのではないかと考えている。私の経験で言えば、あまり接点のない頃は、その人の英語がほとんど理解できなかったのに、同じプロジェクトに関わって、頻繁に話すようになった後は、一字一句、書き留められそうなくらいよくわかるようになった、ということもある。


言葉というものは、ネイティブ・ノンネイティブに限らず、それぞれのクセがある。たくさん話すことで、発音に慣れることができ、より理解しやすく、コミュニケーションがとりやすくなると言えるだろう。






おまけ:お国なまりエピソード



<その1>

あるインドの人が、「書類を仕分けする」を、「segregate」と言っていた。ふつうなら、sort とか、organize というところだ。その時は状況から意図が判断できたが、実際その後、オフィスワークでこの単語が使われるのを聞いたことがない。


<その2>

かなり英語にクセのある人たちが、あるセミナーに参加していた。質疑応答の時間、講師の人が質問を何度聞き返しても聞き取れない。3回ほど繰り返した後、結局、「では、私の上司に答えていただきましょう」と、いきなり、オブザーバーの部長に答えをふってしまった。講師ご本人はどうしても聞き取れず、大汗をかいていたらしい。







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