バールはどこにでもある
イタリアの街を歩いていて、一番よく目につく飲食店がバール。日本語で「バー(ル)」と聞くと、お酒を飲むところをイメージするが、イタリアの場合は、コーヒーや軽食を気軽に取れるところ。アルコール類も置いてある。
バールには立ち飲みのスペースがあり、たいていは店内にいくつかのテーブル席がある。また、店の前にテラス席を設けているところもある。店にもよるが、テーブル席の場合は多少料金が高くなるようだ。
イタリア人は、バールでコーヒーを飲むだけでなく、軽い朝食や昼食を取ったり、夕食前に一杯飲んだりする。また、地元の人たちが会話を楽しむ空間ともなっている。
多くの場合、バールの店舗はこじんまりとして、落ち着いた雰囲気。バールに入ると、「イタリアに来たなぁ~」という気持ちになる。
「bar」という言葉は実は逆輸入。どういうことかと言うと、ラテン語の barra を語源とする barrier(バリヤー、障壁)という英語がもとになっているのだ。昔の宿屋では、一画を区切って酒を提供していた。英語の barrier が、区切られた場所、あるいは侵入を制御されている場所、ということから、酒を提供する場所を bar と呼ぶようになったとのこと。
参考:
Wikipedia「Bar」
つい寄りたくなるジェラテリア
バールのほかにも、「イタリアらしい」と感じさせる店がある。それは、Gelateria(ジェラテリア=アイスクリーム屋)。日本に比べて店舗数が多いようで、よく目につき、見ると寄っていきたくなる。
写真はイタリアのジェラート店。バニラ(vaniglia)や、チョコレート(cioccolato)は日本と同様に定番。ここに写っているのは代表的な人気のフレーバー。
Frutti di bosco
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ベリー類(森のフルーツ)
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Limone
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リモーネ(レモンのリキュール)
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Cocco
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ココナッツ
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Fragola
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いちご
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Pesca
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もも
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Pistacchio
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ピスタチオ
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Nocciola
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ヘーゼルナッツ
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「gelateria」という言葉は、gelato(ジェラート=アイスクリーム、氷)が元になっている。これは、gerare(凍らせる)という動詞の派生語。
Pistacchio は日本語で「ピスタチオ」と書くが、イタリア語の発音は「ピスタッキオ」。英語では「ピスタシオ」なので、いったいどこからこの音になったのだろうか…?
Pistacchio は日本語で「ピスタチオ」と書くが、イタリア語の発音は「ピスタッキオ」。英語では「ピスタシオ」なので、いったいどこからこの音になったのだろうか…?
参考:Wikzionario「gelateria」
食事の店の種類
日本語で「レストラン」というと、ちょっとおしゃれして出かけるような高級なイメージ。「食堂」といえば、ふつうのおかずとご飯を出してくれる大衆的な店が思い浮かぶ。このほか、料亭、割烹、お食事処など、日本語には食事をするところの表現がいろいろある。
実はイタリア語にもさまざまな飲食店の呼び方があり、それぞれ違った種類の飲食店を意味する。主なものを高級(と言われる)順に紹介する。なお、これは厳密な定義ではなく、リストランテでもカジュアルなところがあれば、リストランテではなくても高級なところがある。
Ristorante(リストランテ)
フルコースを出してくれる店。イタリアのフルコースの基本は、前菜(antipasto =アンティパスト)、スープ・パスタ類(primo piatto =
プリモ・ピアット)、魚・肉などのメイン料理(secondo piatto = セコンド・ピアット)とデザート・食後酒という構成。
イタリア語の
ristorante は、フランス語が語源。「cibi di restaurare(体を回復させる食べ物)」という意味がもとになっている。昔からある言葉ではなく、フランスで一般的に使われるようになったのは18世紀、イタリアで最初に使われた記録は1877年だそう。
Trattoria(トラットリア)
リストランテと同じくフルコースを提供する店。地元の料理を出したり、やや大衆的なイメージ。
「trattoria」のもとになったのは、何と「trattore=トラットーレ(トラクター)」という言葉。「トラクターで行くような地元の店」という意味だと聞いたことがある。
Osteria(オステリア)
一般的には気軽な居酒屋といった店。
リストランテより古い言葉で、13世紀の記録に osteria という言葉が出てくるそう。もとになったのは、ラテン語の
hospite から派生したフランス語の oste で、「おもてなし」という意味。どこかで聞いたような…「お・も・て・な・し」
Pizzeria(ピッツェリア)
その名の通り、ピザの専門店。ピッツェリアと言っても、ファストフード的なところから、レストラン形式のところまで、さまざまなタイプがある。
言葉はズバリ、pizza が元になっている。pizza という言葉の由来は諸説あり、ドイツ語で一口を表す bizzo あるいは pizzo、ラテン語で「平らに潰す」を意味する動詞 pinsere、古代ギリシア語で「投げる」を意味する πίσσαなど、さまざま。10世紀には「pizza」という言葉がラテン語で書かれたものが見つかっているそうで、かなり古い言葉であることは確か。
参考:
Wikzionario「ristorante」「trattoria」「osteria」「pizzeria」
その他の店の名前
イタリアの食事処の名前はさらにいろいろ。ちょっと調べただけでも15種類。中でも面白いのは、taverna(タヴェルナ)という言葉。「食べる」ところなのに、「食べるな」とは
(^^)
ristorante
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リストランテ
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trattoria
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トラットリア
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osteria
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オステリア
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bettola
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ベットラ
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taverna
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タヴェルナ
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tavola calda
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ターヴォラ・カルダ
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rosticcieria
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ロスティッチェリア
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enoteca
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エノテーカ
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locanda
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ロカンダ
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fraschetta
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フラスケッタ
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pizzeria
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ピッツェリア
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spaghetteria
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スパゲッテリア
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bar
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バール
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caffeteria
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カフェテリア
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gelateria
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ジェラテリア
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おまけ:ジェラートのボリューム
以前、スペインのマドリッドでアイスクリーム屋に入ったことがある。ちなみに、イタリア語は gelateria(ジェラテリーア)だが、スペイン語では、heladería(エラデリーア)。よく似ている!
私は、スペインやイタリアでアイスクリームを注文するときは、たいていココナッツフレーバーを選ぶ。単純に好きだし、日本にはほとんどないからだ。その時も、ココナッツフレーバーをワンスクープ、カップで食べていた。
すると、若いカップルが店に入ってきて、男性のほうが注文を始めた。かなり大きなコーンで、7種類くらいのフレーバーを乗せたうえ、トッピングもたっぷりと盛ってもらっている。「恋人どうしだから、シェアして食べるのか~」と見ていると、今度は女性が、男性に負けないくらい大盛りのアイスを注文。仲良く座り、「これが普通の量」といった感じで食べていた。
情熱の国スペインは、食欲も半端ないようだ。というか、ワンスクープだけ食べていた私は、いったいどう見られていたのか…?
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