2018年8月12日日曜日

イタリア語なるほどメモ34「いろいろな職業」





レーサーはパイロット?



以前、ロンドンから日本に帰る飛行機で、オートバイレースの選手たちといっしょになったことがある。たまたま私の隣に座ったのは若いイタリア人選手。少し言葉を交わすと、「ツインリンクもてき」で初めてレースに参加すると、うれしそうに話していた。




実はこの青年、日本語はもとより、英語がまったくできない。入国カードを書くのに苦労しているようだったので、手伝ってあげた。職業欄のところは「仕事(lavoro=ラヴォーロ)のことですよ」と教えると、「じゃあ、俺はパイロットだ!」と言いながら、「PILOTA」と記入した。


その時初めて、イタリア語の pilota に、レーシングドライバーの意味があることを知った。飛行機のパイロットと勘違いされないかと思ったが、特に問題なく入国できたようだ。



政治家と警察官



イタリア語の職業の言い方は、英語の単語とよく似ているものが多い。パイロットとピロータも似ているが、ドクターとドットーレ、ジャーナリストとジョルナリスタ、セクレタリーとセグレタリアなどはほぼそっくり。また、ウェブデザイナーや、ブロガーなど新しい言葉は、英語がそのまま使われるようだ。


英語と似ている単語のなかで、私の場合、どうしても混同してしまうものがある。それは、政治家と警察官。それぞれこういう単語だ。


日本語
英語
イタリア語
読み方
政治家
politician
politico
ポリティコ
警察官
policeman
poliziotto
ポリツィオット
※女性の場合は、語尾が -a となります。


また英語の policy police は、イタリア語でそれぞれ、politica(ポリティカ)と polizia(ポリツィーア)となり、こちらもややこしい。紛らわしいのも当然、これらの言葉はすべてギリシャ語の「都市(ポリス=πόλις)」という同じ言葉が語源となっている。


Wikzionarioでの説明

政治:politica 「ギリシャ語で「市民」を表すπολίτης からラテン語の politĭcusに」
政治家:politico「ギリシャ語で「市民」を表すπολίτης から」
警察:polizia「ギリシャ語で「市政」を表すπολιτείαがラテン語のpolitiaに」
警察官:poliziottopoliziaの派生語」


なお、イタリアにはいくつかの警察組織がある。大きな2つの組織が国家警察である Polizia di Stato、もうひとつは国家憲兵である Carabinieri(カラビニエリ)だ。




参考:
Wikzionario politica」「politico」「polizia」「poliziotto
Wikipediaイタリアの警察



いろいろな職業



一般的な職業の単語についてまとめてみた。


日本語
英語
イタリア語
読み方
建築家
architect
architetto / a
アルキテット
画家
artist
artista
アルティスタ
役者・俳優
actor, actress
attore / attrice
アットーレ、
アットリーチェ
法律家、弁護士
lawyer, attorney
avvocato / a / avvocatessa
アッヴォカート、
アッヴォカータ
バリスタ
barman
barista
バリスタ
狩人
hunter
cacciatore / cacciatrice
カッチャトーレ、
カッチャトリーチェ
ウェイター・ウェイトレス
server,
waiter, waitress
cameriere / a
カメリエーレ
歌手
singer
cantante
カンタンテ
主婦
housewife
casalinga
カサリンガ
コック・料理人
cook
cuoco /a
クオコ
医者
doctor
dottore / dottoressa
ドットーレ、
ドットレッサ
写真家
photographer
fotografo / a
フォトグラフォ
ジャーナリスト
journalist
giornalista
ジョルナリスタ
会社員
employee
impiegato /a
インピエガート
看護士
nurse
infermiere /a
インフェルミエレ
エンジニア
engineer
ingegnere
インジェニェレ
教員
teacher
insegnante
インセニャンテ
整備士
mechanic
meccanico / a
メッカニコ
音楽家
musician
musicista
ムジチスタ
漁師
fisherman
pescatore /pescatrice
ペスカトーレ、
ペスカトリーチェ
パイロット
pilot
pilota
ピロータ
政治家
politician
politico / a
ポリティコ
警察官
policeman
poliziotto / a
ポリツィオット
消防士
firefighter
pompiere / a
ポンピエレ
教授
professor
professore / a
プロフェッソーレ
科学者
scientist
scienziato / a
シェンツィアート
作家
writer, novelist
scrittore / a
スクリットーレ
秘書
secretary
segretaria
セグレタリア
翻訳者
translator
traduttore / traduttrice
トラドゥットーレ、
トラドゥットリーチェ


ほとんどの単語が英語とよく似ている。また、英語とは異なるが、cacchiatore(カッチャトーレ)や pescatore(ペスカトーレ)は、イタリア料理の名前で聞くことがある。イタリア語独特の単語はcameriere(カメリエーレ)、pompiere(ポンピエーレ)などだ。


cameriere は、部屋と言う意味の「camera(カメラ)」が語源。ウェイター・ウェイトレスと言う意味のほかに、個人の家で働くお手伝いさんの意味もある。


pompiere は、pompe(ポンプ)が語源。そう言われてみると、確かに消防士は水栓と関係がある!




参考:Wikzionario cameriere」「pompiere



女性弁護士は?



イタリア語の場合、男性名詞・女性名詞があるので、職業についても、男女に合わせた語尾になる。また単語によっては男女同形のものもある。


この中でユニークなのは、法律家・弁護士を表す avvocato。女性形として、avvocata avvocatessa という言葉があるが、女性弁護士であっても男性形の avvocato が使われることがあるとのこと。これは、avvocata は揶揄的な意味合いがあったり、avvocatessa は、弁護士夫人の意味もあったりするため、純粋に職業を表す時は男性形が使われるようだ。


参考:



おまけ:アボカドとアッヴォカート



「アッヴォカート」と聞くと、野菜(果物?)のアボカドを連想する。もしや何か関係があるのでは?と思って調べてみたら・・・


まったく関係ありませんでした (--;


弁護士の avvocato は、ラテン語のadvocatus が語源。「言葉で擁護するために呼ばれる人」といった意味だそう。一方、アボカドは アステカ人が使っていたナワトル語の  āhuacatl(アーワカトゥル)から。全然別物だったんですね~



参考:Wikzionarioavvocato」「avocado




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