2018年4月17日火曜日

ことばと文化8「プレゼンテーションの極意」





日本人はプレゼンが苦手


「プレゼン」と聞けば、多くの人が故スティーブ・ジョブズ氏を思い出すだろう。アップル製品の売り上げは、彼のプレゼンに支えられていたと言っても過言ではない。とかく現代社会では、プレゼン能力がモノを言う。



一方日本人は、ほとんどの人がプレゼンを苦手としているようだ。ウェブを検索すれば、「プレゼンのコツ」や「プレゼンの上達方法」といった記事が死ぬほどある。ハウツー本や研修も限りなくある。


英語と同様、プレゼンについても、「できたほうがいい」と分かっていても、なかなか上達しないというのが現実のようだ。

  

プレゼンのコツとは?



私自身もプレゼンはかなり苦手なほうだった。特に英語で発表する機会が多かったため、母国語でないハンデもあった。そのため、いくつかの研修にも参加し、いろいろなコツを習った。





その中で私が特にテクニックとして役立つと思ったのは、次の点だ。

1.スライドにストーリーを持たせる

全体としてのテーマをもとに、スライドを構成すること。
スライドが次のスライドにストーリーとしてつながっていくこと。

例:表示しているスライドが何かのリストであれば、「次のスライドで詳しく見ていきます」といった、つながりの一言を入れる、など。


2.一方的に話すのではなく、インタラクティブに

伝えている内容が理解してもらえているか、興味を持ってもらえているか、確認しながら話すこと。

例:ボディランゲージを使って注意を引くようにしたり、質問を織り交ぜたりする。


3.自分というものを見せながら話すこと

個人的経験や意見などを織り交ぜることにより、さらに関心を持ってもらえる可能性が高くなる。

例:自分の失敗談などを入れるなど。



でも、あがってしまう!



コツは覚えても、いざ聴衆を目の前にプレゼンとなると、あがってしまってそれどころではない、という人も多い。実は私が苦労したのも、その点だった。





あがりというものは、コントロールできるものではない。ウェブを見ればいろいろなアドバイスがある。あがりを気にしない、とか、あがることこそ、成功の秘訣、などと言う人もある。鏡の前で練習するとか、録音するなどの具体的なアドバイスもある。


しかし、それでうまくいった人がどれだけいるだろう。


あがりを克服する方法はただひとつ、「場数」を踏むことしかないのではないだろうか。日本人がプレゼンやパブリックスピーキングが苦手なのは、学校での経験が少ないことに原因があるというのは、よく言われていることだ。


プレゼンの極意とは?



実は、少し前に読んだプレゼンに関する記事に、プレゼンの極意とも言えることが書いてあった。


記事のタイトルは、「Try This Simple Trick To Beat Your Public Speaking Anxiety
リンクはこちら


これは、アメリカ人向けに、いかに上がらずに、パブリックスピーキングをするかについて書かれているものだ。(人前でしゃべるのが苦手なのは、実は日本人だけではなかったのだ!)
  

そしてその極意とは、言われてみれば当然のことである。

  

「プレゼンとは、伝えること」


人がどう見ているか、発表が下手で恥をかくのではないか、などと気にする必要はない。聞いている人は、プレゼンテーションがうまいかどうかを判断するためにいるのではない。自分に必要な情報を明確に伝えてくれるかどうかで評価するわけだ。だから、伝える内容に集中すればいい。


目的は、「人前でうまく話すこと」ではなく、「必要なことを伝えること」。そう考えれば、あがりは克服できる、と書かれている。

どう話すではなく、何を伝えるかと頭を切り替えるだけ。私にとってこの記事はまさに目からうろこであった。


スティーブ・ジョブズ氏「伝説の卒業式スピーチ」


先にも書いたが、スティーブ・ジョブズ氏は、製品のプレゼンテーションで伝説的存在となった。一方、彼の最高のプレゼンとも言われているのが、2005612日にスタンフォード大学の卒業式で行ったスピーチだ。


いつもの製品発表とは異なり、ビジュアルに頼らないスピーチ。また、視線は原稿に目を落とすことが多く、大げさなジェスチャーもない。このシンプルなプレゼンが、世界中の人に感動を与えたと言われている。


これは、彼がありのままの自分で、伝えたい思いを誠実に語ったからに他ならないからだと思う。


ご覧になったことのない方のために、動画のリンクを入れました。ぜひご覧ください。15分弱とは思えないくらい深い内容です。







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