イタリアの基本の調味料は?
和食の基本は「さしすせそ」。「砂糖・塩・酢・醤油・みそ」からそれぞれ一文字を取った言い方だ。「醤油」が「せ」になるのは、昔「せうゆ」と書かれていたから。
一方、イタリア料理の調味料としては、塩・こしょうに加え、オリーブオイルと酢が基本だ。イタリア語ではそれぞれ、「sale(サレ)」「pepe(ペペ)」「olio
di oliva / olio d’oliva(オリオドリーヴァ)」「aceto(アチェト)」。中でも、sale にはいろいろな派生語があって面白い。人が生きていく上で欠かせない重要なものだからだろう。
塩の派生語とは?
塩(sale)の語源は、ラテン語の sal。英語の salt、フランス語の
sel、ドイツ語の Salz など、みなこのラテン語が元になってできた言葉だ。
派生語としてよく知られているのは、英語の salary や salad。サラリーというのは、昔、兵士の賃金が塩で払われたり、塩を買うための金として払われたことからできた言葉。イタリア語では「salario(サラリオ)」になる。また、サラダは塩をかけて食べるもの、ということで、イタリア語では「insalata(インサラータ)」。
ラテン語の「sal(塩)」から派生した主な言葉をまとめてみた。なお、イタリア語では「給料」を表す言葉はいろいろあり、salario はそのひとつ。「賃金」という意味合いに近いようだ。毎月定額が支払われる「給与」という意味ではstipendio(スティペンディオ)という言葉がある。
イタリア語
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読み方
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日本語
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salame
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サラーメ
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サラミソーセージ
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salario
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サラリオ
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賃金
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salatino
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サレティーノ
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プレッツェル
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salato/a
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サラート(タ)
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しょっぱい
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salgemma
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サルジェンマ
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岩塩
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saline
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サリーネ
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塩の干潟
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salsa
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サルサ
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ソース
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desalinazione
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デサリナツィオーネ
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淡水化
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insalata
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インサラータ
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サラダ
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この中でおなじみなのは salame
だ。日本語や英語では「サラミ」と言うが、これはイタリア語の「サラメ」の複数形。salsaは日本語では音楽用語としてよく知られているが、もともとはスペイン語やイタリア語で料理のソースを表す言葉だ。
おもしろいのは、岩塩を表す salgemma という言葉。sal は塩、gemma は宝石の意味。岩塩は結晶化したものなので、確かに宝石のようだ。英語では
rock salt。英語のストレートな表現に比べ、ラテン系の言葉には味わい深い表現が多いような気がする。(個人的な意見です > <)
オリーブオイルあれこれ
イタリア語でオリーブは「oliva(オリーヴァ)」、オイルは「olio(オリオ)」。英語とよく似ていて覚えやすい。それぞれの語源は次の通り。
Oliva:
ギリシャ語 ἐλαία がラテン語の
olivaに
Olio:
ギリシャ語の ἔλαιον
がラテン語の ŏleum に
おもしろいのは、オリーブ/オリーブオイルの世界No.1 生産国であるスペインでの呼び方。「オリーバ(oliva)」という言葉もあるが、一般的に、オリーブは「aceituna(アセイトゥーナ)」、オリーブオイルは「aceite(アセイテ)」という、アラビア語起源の言葉が使われている。これは、スペインが500年以上にわたりイスラム帝国の支配を受けていた名残り。
ちなみに、オリーブオイルというと、イタリアの生産量が多いと思われがちだが、実はスペインが圧倒的。国連職業農業機関(FAO)のデータではこうなっている。
なお、国としての消費量はイタリアがトップ。一人当たりの消費量でもイタリアはトップ3入りで、オリーブオイルの国としての面目躍如たるところ。トップ3の年間のオリーブオイルの摂取量は一人当たり何と約10キロ!それに比べ日本は400グラム…だいぶ少ないですね。
バルサミコ酢は高級品?
本物のバルサミコ酢は、イタリアのモデナおよびレッジョ・ロマーナで、伝統的製法により作られたもの。普通の酢に比べたらかなり高い。イタリアでは、日常の料理に使われる酸味の調味料としては、ワイン・ビネガーやレモン汁が一般的のようだ。
イタリア語で「酢」は「aceto(アチェト)」。バルサミコ酢は「aceto balsamico」、ワインビネガーは「aceto di vino(アチェト・ディ・ヴィーノ)」と言う。
おまけ:似ているようで似ていないイタリア語とスペイン語
「オリーブオイル」と「酢」の単語は、イタリア語とスペイン語でちょっと混乱する。
イタリア語
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スペイン語
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オリーブオイル
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olio d'oliva
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aceite
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酢
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aceto
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vinagre
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イタリア語の「酢」とスペイン語の「オリーブオイル」のつづりがよく似ているのだ。実はこれはたまたま。aceto はラテン語起源だし、aceite はアラビア語起源なので、まったく別の言葉。異なる調味料が同じような言葉で呼ばれているというのは、偶然とはいえ、おもしろいものだ。
ちなみに、スペイン語の「vinagre(ビナグレ)」というのもラテン語起源。ラテン語の「vinum acetum(酸っぱいワイン)」が元になっている。そして、この acetum
がイタリア語の aceto の語源なわけで、混乱しますぅ~
参考:
Wikipedia「sale」「halite (solgemma)」「olio di oliva」「aceto
balsamico」「aceto」
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