2018年10月11日木曜日

言葉と文化29「ローマ字の正しい書き方は?」





昔の笑い話で、「イタリア人にローマ字で手紙を書いても通じなかった」というのがある。「ローマで使うからローマ字じゃないのか?!」という落ちだ。もちろん、日本語をいくらイタリア風アルファベットにしても、日本語は日本語。イタリア語にはならない。





そもそもローマ字とは?



ローマ字は英語で「Roman characters」または「Roman alphabet」。古代ローマで使われていた「ローマの文字」=「ラテン文字」ということだ。そして、日本語でローマ字と言えば、ふつう「日本語をラテン文字で表したもの」のこと。


厳密に言うと、「日本語のを、ラテン文字に置き換えたもの」がローマ字。PCのローマ字入力と比べてみるとよく分かる。ローマ字が音を表すのに対して、ローマ字入力はひらがなや漢字の「ふりがな」に合わせて入力する。だから、微妙な違いがある。


例えば、こんな感じ。(ローマ字はヘボン式に合わせています)


ローマ字
ローマ字入力
こんにちは
Konnichiwa
Konnichiha
近づく
chikazuku
chikaduku
大阪
OsakaŌsaka
Oosaka
警戒
kēkai
keikai
~
o
o



訓令式とヘボン式



ローマ字の表記方法に2種類(注)あることはどのくらいの人が知っているのだろうか。私自身、「訓令式」「ヘボン式」という言葉を知ったのは、大人になってからのような気がする。


学校で習うのは訓令式だが、知らないうちにヘボン式を使うようになっていた。実際、社会人の場合は、ヘボン式を使っている人が多いと思われる。


ヘボン式が馴染む、ということには、次のような理由が考えられる。


駅名や道路の地名はヘボン式表示が多い

国土地理院の地名表示はヘボン式と決められている。

会社の住所表記はたいていヘボン式
名刺やウェブサイトの英語表示では、「~市」は「shi」となっている会社がほとんど。訓令式の「si」というのは、見た記憶がない。

スポーツ選手のユニフォームの名前はヘボン式表示が多い
伸ばす音(長音)は H をつけたり、記号をつけたりつけなかったり、定まっていないようだが、ち(CHI)やし(SHI)が一般的のようだ。

パスポートの氏名の表記がヘボン式に指定されている
知っている人は少ないかもしれませんが(~ ~

日本語から英語になった言葉がヘボン式で表されている
JudoMatchaTofuなど。





(注)厳密にいうとローマ字の表記の種類は二つだけではなく、それぞれがさらにいくつかに分かれているそうです。



ローマ字のルールはゆるい



ローマ字というのは、日本語の音を国際的に読んでもらえるよう使われるものだ。それなのに表記方法が複数ある、というのはいかがなものだろう。我々が外国語を習うとき、文字の書き方は何タイプかあって、それぞれ例外もいろいろあります、と言われたら、混乱してしまうだろう。


また、学校で習う表記方法と、社会で一般的に使われているものと違う、というのもずいぶんと無駄なような気がする。




以前地名のカタカナ表記について調べたときも思ったのだが、日本の場合、言語表現について、「例外を認める」「慣用に従う」といった言葉で、あまり規則をきっちり定めない傾向にあるようだ。



読みやすいように作られたはずのヘボン式でも…



ローマ字は最初に訓令式があり、その後、「英語を話す人に読みやすい」ように、ヘボン式ができた。その後、長音の「ˉ」「^」や、Nの音と母音を区切る「‘」などの記号を使わない「英語式」という表記法ができたとのこと。現在目にするローマ字はこの英語式が多いようだ。


しかし、同じアルファベットを使っても、母国語によって読み方が変わってしまう場合がある。例えば、「元気」や「地下」という言葉はこうなる。


英語を話す人が読むと → 「ゲンキ」
イタリア語を話す人は →「ジェンキ」
スペイン語を話す人は →「ヘンキ」


地下:chika
英語を話す人が読むと → 「チカ」
イタリア語を話す人は →「キカ」
フランス語を話す人は →「シカ」


昨今、海外から日本に来る観光客も急増している。ローマ字はいろいろなところで使われているので、日本人にとってだけでなく、外国人にとっても、「コレ!」と言える統一されたルールがあるに越したことはない。





おまけ:「あっ!」はローマ字でどう書く?



いろいろなルールがあるとはいえ、とりあえず日本語をローマ字で書くことはできると思っていた。ところがある時、ソーシャルメディアで「『あっ!』はローマ字でどう書く?」という質問を見て、答えを知らないことに気づいた。

  
調べてみたところ、語末に「‘」をつければいいそうだ。また、「’」の代わりに「Q」を使ってもいいそう。しかし、これを知っている人はどれだけいるだろう。言葉の表記というのは、みんなが知っているから使えるわけで、「A’!」や「AQ!」と見て正しく読んでくれる人はほとんどいないのではないだろうか…





参考:




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