床屋・ひげ・未開人
イタリア語で床屋は「barbiere(バルビエレ)」。英語の「barber」とよく似ているので覚えやすい。この言葉の語源は「barba(バルバ=ひげ)」。なるほど、ひげをそってくれるところというわけだ。そう言えば、日本でも床屋さんはひげを剃ることができるが、美容院ではひげは剃れないとのこと。
ひげの「バルバ」と聞いて、英語で「未開人」を表す「barbarian(バーバリアン)」という言葉が連想された。「バーバリアン」という言葉には、いかにもひげボーボーのイメージがあり、もしかしたら、関係があるのでは、と思って調べてみた。
バーバリアンの語源
古代ギリシャ人は、自分たちを「ヘレネス」と呼び、それ以外の民族を「バルバロイ(英語のバーバリアン)」と呼んだ。これは、異民族の言葉が「バルバル」といった音に聞こえたから、とされている。つまり、「バルバロイ」はギリシャ語以外の言葉を話す人たち、ということ。
ギリシャ語の
βάρβαρος がラテン語の barbărus になった。古代ローマ帝国においての異民族とは、ヴァンダル族、フン族、西・東ゴート族などだった。
ひげとバーバリアンの関係は?
「バーバリアンはひげボーボー、だから、『ひげ』は『バーバリアン』が語源なのでは?」と考えるのは、私だけではなかった。日本語やイタリア語のサイトでは、このような記事・投稿はなかったのだが、英語サイトにはいくつか議論が見つかった。
Laudator
Temporis Acti: Barbarians
and Beards
Google
Group: "barbarian"
is not releated to "beard"
で、結局、「バーバリアン」と「ひげ」が関係ある、というのは都市伝説ということのようだ。「バーバリアン=バルバロイ」はギリシャ語が起源、「ひげ=バルバ」はラテン語が起源ということで、この2つをつなぐ文献は見つかっていないとのこと。
ちょっとがっかり
('A`) ・・・
美容院は?
床屋のついでに「美容院」についても調べてみた。イタリア語で美容院は「salone di bellezza(サローネ・ディ・ベレッツァ)」という表現があり、まさに「ビューティ・サロン」という言い方。また、美容師は「parrucchiere(パルッキエレ)/parrucchiera(パルッキエラ)」と言う。これは、「parrucca(パルッカ=かつら)」という言葉に由来している。
なお、床屋の「barbiere」は職業の「理髪師」という意味もある。ロッシーニのオペラ「セビリアの理髪師」はイタリア語で「Il barbiere di Siviglia」。
床屋・美容院でやってくれること
Wikzionario
によると、それぞれの仕事内容は次の通り。イタリアでも、ひげを剃れるのは床屋さんだけとのこと。
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日本語
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イタリア語
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床屋
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髪を切る
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taglia i capelli
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ひげを剃る
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rade la barba
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美容院
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ヘアスタイルを整える
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acconcia i capelli
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髪を切る
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taglia i capelli
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髪を洗う
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lava i capelli
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髪を染める
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tinge i capelli
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おまけ:ブランドのバーバリーは?
ついでに、ブランドのバーバリーも音が似ているので調べてみた。こちらは、創業者の名前からつけられたもの。スペルは「Burberry」なので、まったく関係なかったですね (´-`;)トホホ
参考:
Wikipedia「バルバロイ」「barbaro」「baribiere」「parucchiere」「バーバリー」
Wikzionario「barbaro」「barbiere」「barba」「parucchiere」
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