2018年9月11日火曜日

言葉と文化27「迷惑メールはなぜスパム?」





迷惑メールの呼び方



迷惑メールがどんどん迷惑になってきている。




以前の迷惑メールは英語で書かれたものが多く、明らかに怪しいことが分かった。しかし最近は、日本語で巧妙に作られたメールが来るようになっている。銀行とかネットショップ、携帯電話会社を騙ったものなど、うっかり開いてしまいそうだ。


「迷惑メール」は「スパム」とか「スパムメール」と呼ばれることが多い。他にも、「ジャンクメール」や「ウイルスメール」「バルクメール」「フィッシングメール」といった言い方がある。それぞれの呼び方に意味の違いはあるのだろうか。また、「スパムメール」というのは、缶詰の SPAM と関係があるのだろうか。



「迷惑メール」の呼び方いろいろ



いろいろな迷惑メールの呼び方について、グーグル検索してみた。検索結果の多い順で並べるとこうなる。


順位
迷惑メール名

ヒット数
1
迷惑メール
146.000,000
2
スパムメール
29,500,000
3
ウイルスメール
27,800,000
4
フィッシングメール
25,600,000
5
ジャンクメール
12,700,000
6
バルクメール
3,900,000


面白いことにウィキペディアでは、「迷惑メール」という項目はない。迷惑メール全般については、「スパム(メール)」という項目になっている。フィッシングメールについては、「フィッシング(詐欺)」という項目があった。


迷惑メールは、いくつかの種類に分けられるようだ。



種類
呼び方
1
広告目的などで、一方的に送り付けてくるメール
スパムメール
ジャンクメール
バルクメール
2
パスワードやクレジットカード情報など、個人情報を取るためのメール
フィッシングメール
3
ウイルスに感染させるためのメール
ウイルスメール
4
リンクをクリックさせて架空請求を行うメール
架空請求メール
5
メールを転送させるためのメール
チェーンメール




「迷惑メール」という言葉は、総務省などが使っているので、一番よく使われている。一方、「迷惑メール」という言葉自体、迷惑メール全般を指す場合と、広告目的のメールを指す場合があるようで、厳密な定義はないようだ。


なお、5番のチェーンメールというのは、最近は少なくなっているとのこと。



英語での「迷惑メール」



英語のいろいろな「迷惑メール」の言い方についても調べてみた。(英語の検索結果のみ)

順位
迷惑メール名

ヒット数
1
Spam email
2,000.000,000
2
Bulk email
353,000,000
3
Virus email
305,000,000
4
Junk email
241,000,000
5
Phishing email
197,000,000


このほか、UCE (Unsolicited Commercial Email) や、UBE (Unsolicited Bulk Email) という言い方もある。Unsolicited は、「勝手に送りつけてくる」という意味。



迷惑メールはなぜスパム?



以前より、迷惑メールとハムの SPAM に何か関係があるのか、気になっていた。この機会に調べてみたところ…


迷惑メールは、ハムの SPAM が語源だった!




かつて、SPAM のテレビコマーシャルがあった。これは、とにかく「SPAM! SPAM!」と繰り返すもの。これを、イギリスのお笑い番組「モンティ・パイソン」がパロディーとして取り上げた。


あるインターネットのスペシャリストが、モンティ・パイソンのファンで、繰り返し送り付けられてくる迷惑なメールを SPAM と呼んだ。これがきっかとなった、というのが一説。


SPAM のメーカーとしては、イメージが悪くなるのでいい迷惑では、と思ったが、特にマイナスともなっていないようだ。モンティ・パイソンのロゴを入れた記念商品なども販売したことがあるとのこと。



おまけ:「フィッシング」は「魚釣り」と関係ある?



「フィッシング」という言葉を知った時、情報を「釣りあげる」というイメージがぴったりで、英語では当然「fishing」と書くのだろうと思っていた。


何かのきっかけで、実は「fishing」ではなく、「phishing」と書くと知り、単にそういう専門用語なのかと深くは考えていなかった。


今回「迷惑メール」を調べるにあたり、ついでにフィッシングについてみてみたところ…


実は、フィッシングメールと魚釣りは関係があった!




2004年のコンピュータワールド記事によれば、フィッシングという言葉は1996年に生まれたもの。「情報を釣り上げる」という意味で、「fishing」がもとになっている。ハッカーの場合、スペルの「f」を「ph」に変えることが多いため、この単語も「phishing」として使われるようになったとのこと。


一説では、「f」を「ph」に変えるのは、「sophisticated」の「ph」に由来しているとも言われる。


インターネットの世界は次々と新しい言葉が生まれてくるので、気になったらしっかり調べておいたほうがよさそうだ。



参考:
迷惑メール相談センター「迷惑メール




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