色の表現は人それぞれ
色というのは、人によってかなり認識が違う。特に青の場合、人によって感覚がかなり異なるようだ。例えば青と緑の中間の色の場合、人によって緑と言ったり、青と言ったりする。私の場合、青と認識する範囲が広いようで、ほとんどの人が「緑」と言う青信号はどうしても青にしか見えない。
イタリア語で青は?
英語で青は blue。イタリア語にも blu(ブル)という単語があるが、広く青の意味を表すのは azzurro(アッズーロ)という単語。このほかにも celeste(チェレステ)という表現があり、青を表す時はだいたいこの3つの単語を使い分けるようだ。
一方、同じラテン語系のフランス語では、「青」を表すのは基本的に
blue。イタリア語の azzuro と同じ語源の azur という単語もある。コートダジュール(Côte d'Azur)は「紺碧海岸」という意味だ。
コートダジュール、カンヌの海岸
青の表現の語源
イタリア語の青の単語は、薄い順に、celeste、azzurro、blu となる。それぞれの語源はこんな感じ。
celeste(チェレステ)
ラテン語で「空の」を表す caelestis から。日本語でも「空色」という言葉があるが、まさに「空の色」といった意味。イタリアの空は日本の空より、もっと青いような気がするが、色としては薄いブルーで、日本語の「水色」に近い色を表す。
azzurro(アッズーロ)
語源は何とペルシャ語! ラピスラズリを表す「لاژورد (lâžvard, lâžavard)」という単語が元になっている。
このペルシャ語は、イタリア語、フランス語だけでなく、英語やスペイン語にもなっている。英語は azure(アジュア)、スペイン語は azul(アスール)。もとはいっしょの言葉だが、表す色は必ずしも同じではない。英語の azure は、イタリア語の azzurro より薄い青、一方スペイン語の azul は、azzurro より濃い青を表すとのこと。
blu(ブル)
フランス語の bleu から来たもの。フランス語の
bleu は、フランク語の blao が語源となっている。イタリア語では、「azzurro scuro(アッズーロ・スクーロ=暗い青)」という表現もある。
このほか、turchino(トゥルキーノ)という言葉もある。これは
トルコ石(pietra turchese)が語源で、暗い青を表す言葉。また、celesteや
azzurro の派生語として、ceruleo, cilestrino,
azzurriccio, azzurrognolo, azzurrino などもある。
イタリア語の
Wikipedia によるRGB 指定は次の通り。
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Celeste
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Azzurro
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Blu
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Turchino
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RGB
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178; 255; 255
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0; 127; 255
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0; 0; 255
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59; 75; 135
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色
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ちなみに、トルコ石はトルコでは採れないそうです (・ ε ・)フーン
英語や日本語の青の表現
英語で「青」と言うときは、blue の一言で済ませがちだが、実は英語もいろいろな表現がある。最近は緑がかった青を表す teal という色が流行っているようで、ウェブなどでもよく見かけるようになった。
英語の blue の類義語を見てみたところ、10語以上あった。
英語
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日本語
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英語
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日本語
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blue
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青
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navy
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ネイビー
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blue-green
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青緑色
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royal
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ロイヤル
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azure
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紺碧
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sapphire
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サファイア
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beryl
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緑柱石
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teal
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ティール
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cerulean
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空色
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turquoise
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ターコイズ
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cobalt
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コバルト
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ultramarine
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ウルトラマリン
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indigo
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インディゴ
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blue-gray
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青灰色
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日本語も見てみたところ…
何と 65種類!
青、水色、群青色、藍色 といったよく知られた言葉のほか、甕覗(かめのぞき)などという面白い言葉もあった。勿忘草(わすれなぐさ)や露草色(つゆくさいろ)など、植物・花にちなんだ名前も多く、情感にあふれる言葉が多い。こういう発見をすると、日本語が誇らしく思えるものだ。
色付きで紹介しているサイトはこちら。
おまけ:なぜ人によって、青の認識が違うのか
私自身は「青」ととらえる範囲が広く、信号は緑ではなく、青だし、人が「紫の花」と呼ぶものも「青」と思ってしまう。なぜかと考えたところ、ふたつの理由が思い当たった。
ひとつは、日本語では信号の色を「青」と呼んでいること。私にとっては、「青信号」という言葉ありきで、信号の「進め」の色が青、という認識を子供の頃に持ってしまったからだと思われる。
もうひとつは、よく使う色の呼び方によるもの。虹の7色というのは、「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」と定義されている。ふつう色をおおざっぱに言うときは、この7色の藍以外の6色に、黄緑を加えた7色で表現することが多いのではないだろうか。
赤と黄色の間の橙、黄色と緑の間の黄緑があるのに、緑と青の間の青緑という色は使う頻度が少ない。だから、緑とも青とも言えない色については、自分の感覚に合ったほうを選ぶわけで、私の場合は「青」になる、ということだ。
色の感覚は人それぞれ。色を正確に言いたいときは、やはり RGB や、CMYK など、数字に頼るしかないようだ。
Wikipedia「Azzurro」「Celeste
(colore)」「Blu」「Turchino (colore)」