2019年1月27日日曜日

イタリア語なるほどメモ43「干支を表すイタリア語」





年の初めは干支の話題がよく出る。今年はいのしし年。イタリア語で「いのしし」は「cinghiale(チンギアーレ)」だが、調べてみたところ、干支としての「いのしし年」はこれとは別の言葉だった!そこで、十二支に関わるイタリア語をまとめて調べてみることにした。




干支はイタリアで知られているのか?



以前ブログでも書いたが、イタリア人に人気があるのは星占い。占星術は古代バビロニアが発祥だそうだが、古代ギリシャで発展したことから、ヨーロッパで広く受け入れられているのも当然だろう。では、中国発祥の十二支はどうだろうか。


十二支はいちおう、「中国の(星)占い」として知られてはいるようだ。イタリア語としても、「oroscopo cinese(オロスコポ・チネーゼ=中国の星占い)」や、「zoodiaco cinese(ゾディアコ・チネーゼ=中国の星座)」といった言葉がある。


なお、それぞれの「干支」と言うときは、星占いの星座と同じ「segno(セーニョ=印の意味)」を使う。「干支」を表すイタリア語(単数)は、「segno zodiaco cinese(セーニョ・ゾディアコ・チネーゼ)」となる。(「セーニョ」と言うのは、あの音楽用語の「ダルセーニョ」の「セーニョ」と同じ)


では、自分の干支を認識しているかどうかと言えば、東洋に興味のある人や、実際に日本や中国に住んでいる人に限られるのではないだろうか。



干支の名前のイタリア語は?





干支の名前は、基本的に動物の名前であり、当然イタリア語もある。イタリア語のサイトで調べた単語を表にまとめてみた。


だいたいはそれぞれの動物のふつうの呼び方と同じだが、「亥」は「いのしし」を表す「cinghiale(チンギアーレ)」ではなく、「maiale(マイアーレ=ぶた)」だ。また、日本では「未年」は「ひつじ」だが、イタリア語は「羊」を表す「pecora(ペコラ)」ではなく、「山羊」という意味の「capra(カプラ)」となっている。


日本語
イタリア語
読み方
topo
トーポ
bue
ブーエ
tigre
ティグレ
coniglio
コニッリオ
drago
ドラゴ
serpente
セルペンテ
cavallo
カヴァッロ
capra
カプラ
scimmia
シッミア
gallo
ガッロ
cane
カーネ
maiale
マイアーレ


調べてみたところ、実は、亥年を「いのしし」と言うのは日本くらいらしい。なぜなら、ご本家の中国では十二支の最後の干支は「ぶた」だからだ。


ちなみに、日本の干支がなぜ「いのしし」になったかと言うと、45世紀ころ中国から十二支が入ってきたとき、いのししを家畜化したぶたというものが、日本にはいなかったから、ということらしい。日本では野生のいのししが簡単に獲れたので家畜化されることはなく、また仏教の伝来で肉食をしなくなったという背景があるようだ。


未年の場合は、中国では山羊と羊を区別していないことから、国によって「山羊の年」と言ったり、「羊の年」と言ったりする。英語では、両方の言い方が使われているようだ。一方、「亥年」の場合、私の調べた限りでは、「pig」と言うのが正しいと思われる。サイトによって、「boar」と書いたりしているものもあるが、こちらは単に日本語の「いのしし」を訳しただけ。英語翻訳のサイトでもこのへんが適当だったりするので、気をつけたいところだ。



十二支の動物を表すイタリア語の語源



十二支を表す動物の言葉はだいたいラテン語起源。「なるほど~」と思う単語がいくつかあった。


Drago


語源はギリシャ語の δράκων (ドラコン)。これは、ドラゴンがその睨みで人を硬直させると考えられていたため、「見る(睨む)」という意味の δέρκομαι が元になったのではないか、と言われている。確かに、ドラゴンに睨まれたら、身がすくんでしまうだろう。


Serpente


ラテン語の serpĕre(くねくね動く=イタリア語は strisciare)の動名詞 serpens が語源。動きから来た名前というわけだ。


Scimmia


ラテン語で「鼻がつぶれた」を意味する simus が元になった simia という単語が語源。顔つきから名前が生まれたわけだ。



干支の言葉は男性形



イタリア語の名詞には男性形と女性形がある。会社員であれば、男性は「impiegato(インピエガート)」、女性は「impiegata(インピエガータ)」となるし、先生(教授)であれば、男性は「professore(プロフェッソーレ)」、女性は「professora(プロフェッソーラ)」となる。




動物にも雄雌があるので、男女同形の単語以外は男性形、女性形がある。ウサギの「coniglio(コニッリオ)」やトリの「gallo(ガッロ)」などは、雌の場合、語尾が「-a」になるし、牛の場合は、牡牛が「bue(ブーエ)」で、牝牛は「mucca(ムッカ)」となる。また、犬「cane(カーネ)」の女性形は「cagna(カーニャ)」、ぶた「maiale(マイアーレ)」の女性形は「scrofa(スクローファ)」だ。


と言うことで、干支も女性の場合は女性形になるのでは?と思い、調べてみた。すると、干支の女性形に関する説明は見つからなかった。あくまでも干支自体を表す言葉なので、その干支の人が男性か女性かは関係ないらしい。だから、干支を聞かれて、女性だからと女性形で答える必要はないようだ。



おまけ



今年はいのしし年。「猪突猛進」という言葉が表すように、いのしし年の人は、意思が強く、直行型と言われる。日本人は概して、「私はXX年だから、○○な性格…」などとよく言うが、私自身は、干支でひとくくりされるのにずっと違和感を覚えてきた。「それなら、同じ学年の人たちはほとんど一緒の性格になってしまうじゃないか!」と。


とは言え、おみくじの結果は気になったりするので、人のことを言う資格はないようですね。(2年続けて凶を引き、今年やっと末吉になりました)




参考: